愛知・日本一のオムライス獲得社長 頂点までの道のり
オムライスの日本一を決める大会「カゴメ オムライススタジアム」(東京、5月、カゴメ主催)で優勝した、愛知県名古屋市に本部を置く「洋食のことこと屋」。今は県内に11店舗を展開するが、もともとはオムライスがメニューになく、都外川景司社長(55)が、突然の脱サラで始めた店が、始まりだった。オムライス日本一に輝くまでの足跡をたどる。
「好きなことをしよう」と開店即決、会社に辞表
東海地区予選を勝ち上がり、全国9代表の頂点に立った一品は、「トロトロ玉子のオムハヤチーズ ハンバーグON」。トマトソースベースのリゾットライスとトロトロの半熟玉子に、デミグラスシチューをたっぷりかけて、チーズフォンデューとじっくり煮込んだハンバーグをのせた一品。都外川社長は「味には自信があった。見た目もおいしそうに見える」と、勝因を語った。 ことこと屋の始まりは1998年、都外川社長が当時エンジニアとして会社勤めをしていた時にさかのぼる。妻と子どもの3人で、名古屋市名東区に購入したマンションに住んでおり、たまの休日に近所を散歩していたとき、たまたま、一軒の空き店舗を見つけた。 「その足で不動産屋さんへ行って、借りる契約をしました」。仕事に忙殺される日々が続き、年齢も40歳目前という節目だったため、「好きなことをしよう」と、即決だった。店舗を借りた翌日には、会社に辞表を提出した。
最初の2年間は「修羅場」苦労の日々
都外川社長にとって、料理は趣味。子どものころから本やテレビで見た料理を作るのが好きだった。ただ、飲食業界で働いた経験は、大学時代にした喫茶店バイトの約1年間だけ。「趣味の延長で店を持った」と笑う。 脱サラでオープンした、ことこと屋。最初の2年間は「修羅場」と表現するほど、苦労の連続だったという。スタッフは、キッチンに都外川社長、来客対応は妻だけ。しかも、当初売りにしていたメニューはビーフシチューなどの煮込み料理だった。 「煮込み料理は提供までに時間がかかるが、テーブルにはお客さんが待っている。外には行列もできていた。焦った結果、中途半端な料理を出すことになり、『遅くてまずい』と評価された」。結果、客は店から離れていった。