【更年期の睡眠問題】「夜寝てるのに、昼間に眠くて仕方がない…」原因と眠気を和らげる3つの対処法
更年期に入ると、「最近、夜はよく眠っているのに、昼間に眠くて仕方がない」「夜なかなか寝付けず、昼間とても眠い」と、眠気に悩まされる人が増えてきます。この眠気などの睡眠の変化は、更年期症状の1つである可能性も。とはいえ、活動しなければならない日中の眠気はつらいものです。そこで今回は、なぜ更年期には眠気が起こりやすいのか、眠気を軽減するための対策やケア方法をご紹介します。 【写真】椅子に座りながらできる簡単な眠気対策ストレッチ 先日このようなご相談をいただきました。 「更年期だから眠いということはありますか。特に昼間になるととても眠くなります。 夜は普通に寝ているのに、なぜこんなに眠いのでしょうか。眠気を軽減するための対策はありますか。」(40代・女性) 更年期症状の1つとして、眠気があります。なぜ更年期には眠気など睡眠に問題が起こりやすいのでしょうか。 最も大きな原因は、自律神経の乱れです。男性も女性も、更年期には性ホルモンが急激に低下します。性ホルモンの急低下によって、脳がパニックを起こし、自律神経が乱れてしまいます。自律神経の役目は、体温から血圧、心拍、消化など、生命活動の根幹を一手にコントロールすること。その自律神経が乱れると体にさまざまな症状が現れてきます。 その一つが、睡眠のバランスの乱れです。そのため、日中に眠くなったり、夜なかなか寝付けないなどの睡眠に関する症状が起こるのです。 ■眠気対策におすすめ、集中力を高めるボックス呼吸法 では、昼間に眠気が起こってしまったらどうやって対処すればよいでしょうか。おすすめなのが、集中力を高める呼吸と、血流アップさせるストレッチです。 ■■集中力を高める「ボックス呼吸法」 日中眠いと感じたときにまず試してみてほしいのが、集中力を高める「ボックス呼吸法」です。腹式呼吸が意識できるよう両方の手をおなかに当て、おなかがふくらんだりへこんだりするのを感じながら行います。 ①鼻からゆっくり4秒かけて息を吸う。 ②そのまま4秒キープする。 ③4秒かけて口からゆっくりと息を吐く。 ④息を吐ききったまま4秒キープする。 ①~④の一定のリズムの呼吸を5回程度繰り返します。この呼吸法は、自律神経のうち、興奮させる作用をもつ交感神経と、リラックスさせる作用をもつ副交感神経のバランスを整え、眠くなったときに集中力を高める効果があります。 ■簡単なストレッチで血流をアップして目を覚ます 椅子に座りながらできる簡単な眠気対策ストレッチを紹介します。 ■■血流をアップさせるストレッチ ①椅子に座り、背筋を伸ばす。 ②両手を頭の後ろで組む。 ③肘を後ろに引いて胸を開き、5秒キープする。 肩甲骨を寄せながら、ひじが耳より後ろにいくくらい開きましょう。背中の筋肉を使っていることが感じられます。 ④ゆっくりと戻す。 数回繰り返すことで、上半身がポカポカしてきて、頭がすっきりしてきます。肩周りや頭への血流がよくなることで、眠気を抑えて集中力を発揮できるようになります。 ■眠気に抗わないで10分眠る どうしても眠いときは、短時間、眠ってしまいましょう。10分程度の短い昼寝をとると、頭がリフレッシュされ、集中力や注意力が回復します。すっきりするとパフォーマンスも上がりますよね。 10分眠るのが難しい場合は、目を閉じるだけでも効果があります。視覚情報を遮断することで脳への情報量を減らし、脳の疲れを軽減して、眠気を和らげることができます。 ■傾眠には要注意 同じ眠気でも、「傾眠(けいみん)」には注意が必要です。傾眠とは、声をかけたり、肩をたたいたりといった弱い刺激でハッと意識を取り戻すような軽度の意識障害です。周囲からはただ眠っているように見えますが、気づくと水分補給や食事を忘れてしまうことがあり、脱水症状や栄養不足につながることも。外に行くきっかけを失って、筋力が低下してしまうこともあります。 何か薬を飲んでいる人は副作用で起こることがあるほか、低血圧、認知症の初期症状など、病気が原因の場合もあります。“うとうと”が増えすぎている、眠気や集中力の低下することが急激に増えた場合、医療機関を受診するようにしましょう。 ライター/永田京子 NPO法人 ちぇぶら代表理事、更年期トータルケアインストラクター 1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。口コミで広まり、企業や医療機関など国内や海外で講演を行い述べ3万人以上が受講。2018年カナダで開催の国際更年期学会で発表。
永田京子