徴収できなかった税金など786億円 「不納欠損」は東京都がもっとも多い?
税金以外では駐車違反の放置違反金が最多
実は不納欠損処分されるのは税金だけではありません。東京都の不納欠損総額786億円のうち、都税関連は729億円と92%と大半を占めますが、そのほかにも水道料金や公営住宅の家賃、公営病院の診療代なども不納欠損処分されることがあるのです。 都税以外の債権は時効が5年とされています。これら都税以外の不納欠損で多くを占めるのが駐車違反で徴収される放置違反金です。 放置違反金は、2011(平成23)から都道府県の一般財源になりました。一般財源化してから4年しか経っていないにも関わらず、放置違反金の不納欠損額は17億4000万円。都営住宅の不納欠損額は5年間で7億3000万円ですから、放置違反金の滞納額が多いことが数字からも分かります。 「東京都では不納欠損処分を少しでも減らすため、2008年に債権管理条例を制定しました。同条例のもと、“(滞納を)発生させない”“(債権を)きちんと管理”“不納欠損処分をしない”の3つのスローガンを掲げています。その成果もあって、水道料金や公営住宅の家賃滞納などは件数・金額ベースどちらも減少しています」(東京都財務局主計部) 消費税の増税議論で税に対する関心は高まっています。高い税金を払いたくないと考えるのは、みな同じです。その一方で、納めた後の税金の使い道にまで注意を払っている人は必ずしも多くはありません。新年度予算が成立したのを機に、今一度、私たちが納めた税がどのように使われているのかに関心を寄せるのもいいのかもしれません。 (小川裕夫=フリーランスライター)