徴収できなかった税金など786億円 「不納欠損」は東京都がもっとも多い?
参議院本会議で3月29日、2016年度の予算案が可決し、成立しました。2016年度の予算は一般会計で96兆円を超えて、過去最高となります。 【写真】ふるさと納税ブームを静観する東京都「応益原則に反する」 国家や地方自治体が行政運営のため使うお金は、私たちが納めている税金が原資です。ただ、実際に地方自治体は課税したすべての税金を徴収できているわけではありません。生活困窮や所在不明などを理由に税金が滞納になったまま時効を迎えてしまい、地方自治体が債権放棄するケースもあります。
金額は多いが都税徴収率98.1%
地方税法では、地方自治体は滞納処分の執行を停止することができ、その状態が3年間続くと債権は消滅することになっています。平たく言えば、滞納から3年で時効になるのです。時効を迎えたお金は、債権放棄する会計処理がなされます。これを行政用語で、「不納欠損処分」と呼びます。東京都主税局は、このほど2010(平成22)年度から2014(平成26)年度までの5年間における不納欠損処分の累積額が約786億円に上ることを発表しました。 「金額だけ見ると、東京都は47都道府県でもっとも不納欠損処分額が多い自治体になりますが、東京都は年間予算が5兆円もあり、その規模はほかの道府県と比べても突出しています。そのため、徴収率が高くても不納欠損処分の金額が跳ね上がってしまうのです。もちろん、税金は公平に徴収するのが原則ですから、滞納は許されるべきことではありません。滞納を減らす努力を怠らず、限りなく徴収率を100%に近づけることが私たちの責務と考えています」(東京都主税局徴収部) 都税徴収率は98.1%もあり、これは全国平均よりも高い徴収率を誇ります。決して、東京都は税金の滞納が多いわけではなく、また、東京都が滞納に甘いわけでもありません。 東京都主税局の統計によると、1994(平成6)年の都税徴収率は87.7%でした。それから20年が経過し、確実に徴収率は向上しています。それには、どんな要因があるのでしょうか? 「『税のポスター展』を開催したり、『滞納STOP強化月間』を実施したりするなど、納税者の意識啓発や広報に取り組んだこと成果が出ていると考えています。また、コンビニ窓口で税金を払えるようにしたり、クレジットカード払いに対応したりするなど、税金の支払い選択肢が増えたことも、徴収率が向上した一因だと考えています」(同)