修学旅行生に人気です「東大阪モノづくり観光」バスツアー
修学旅行生に人気です「東大阪モノづくり観光」バスツアー THEPAGE大阪
大阪府東大阪市と言えば、技術力の高いモノづくりの町として全国に知られている。日本有数の中小企業密集地で、面積に対する工場の割合では全国1位と言われる。人口は約50万人。そんな同市で今、「東大阪モノづくり観光(町工場見学バスツアー)」が話題を呼んでいる。これは一般社団法人・大阪モノづくり観光推進協会が企画・運営するものだが、同市の近畿大学のゼミの学生が学生ガイドとして参加し、このほど長野県の高校修学旅行生と教員ら約300人を案内した。企業を訪問し、町工場の見学ツアーを実施することで、地元の地域経済活性化にも貢献している。地元企業も「珍しい取り組みだと思いますね。東大阪のイメージアップにもつながっている」と評価し、全面的に協力している。
モノづくりの熱意どこにも負けない
この11月に行われた「町工場見学バスツアー」には、長野県立丸子修学館高校の生徒273人と教員16人が参加した。バス8台にわかれ、1台につき学生ガイド1人が同乗し、「日本化線」「野田金属工業」など14企業を回った。 見学ツアーを受け入れたカラーワイヤーメーカーの「日本化線」の笠野輝男社長は、こう話す。 「東大阪は約50万人の人口です。会社は2万5000社、そのうち6000社は製造業で、従業員が10人以下の会社が多いんです。教育支援ということで、ワークショップと工場見学を毎年7~8件受け入れている。このような連携活動は珍しいし、東大阪のイメージアップにもつながる。今、工場と住宅が共存する中で、モノづくりの熱意はどこにも負けないし、それをもっと全日本へ、世界へ発信していきたい」
企業や学生ら触れ合い地域経済活性化に
ツアーに加わった学生が将来、モノづくりに関心を持ち、進路選択の際にも役立てるかもしれない。実際、工場見学とワークショップを体験した学生らは「ワイヤーに触れる機会がなかったけど、ワイヤーの可能性がわかりました。東大阪の工場のことも知ることができました」などと、感想を述べている。 近畿大学によると、経済学部の准教授・村上礼子氏のゼミでは、2012年(平成24年)から一般社団法人大阪モノづくり観光推進協会の協力と指導のもと、「モノづくり観光」について調査研究を進めており、学生ガイドはその実学教育の一環だという。東大阪の製造業や地域経済についての学習成果を生かし、修学旅行生のガイドを行うことで、企業関係者や学生らとも触れ合い、地域経済活性化にも寄与しているということだ。 「東大阪市は観光町づくりの政策方針を打ち出していますし、また、着地型観光における地元ガイドの重要性も高まっています。東大阪の町工場を観光資源とすることで、主に中学・高校の修学旅行を誘致し、見学ツアーのガイドを実施しています」(近畿大学)
今や年間の参加者は約100件におよぶ
近年、地域の資源を生かした着地型観光は注目されており、「東大阪モノづくり観光」はそのトップランナーと言える。 今や年間の参加者は約100件、5000人~6000人にも及ぶ。この観光事業を開始した2009年(平成21年)からの累計では2万5000人以上にのぼり、この取り組みはJTB交流文化賞優秀賞を受賞するなど、高い評価を得ている。 (文責/フリーライター・北代靖典)