高校生がオンラインで海外ボランティア 大学入試で自己アピール
入試で問われるSDGsの体験
最近の大学入試では、学力検査の得点で決まる従来型の「一般選抜」に加えて、高校時代の活動や大学入学後の意欲を小論文、面接などで評価する「総合型選抜」を導入する大学が増えています。総合型選抜では、課外活動を含めた実績をアピールする必要があり、高校生でボランティア活動をする人が増えていると言われています。 実際の総合型選抜でも、SDGsに関連する出題は多く見られます。例えば、2023年度の日本大学商学部では写真のような課題が出されました。 流通経済大学は、24年度入試から総合型選抜に「SDGsチャレンジタイプ」を追加しました。持続可能な世界を目指して地域や人々のために活動したいという意欲のある高校生に適した入試で、「高校時代にインターアクト部やボランティア部などで活動した人などにおすすめ」と紹介されています。インターアクト部とは、ロータリークラブの支援を受けたボランティアや海外交流の活動です。 先述の清水さんは、慶應義塾大学にAO入試で合格しました。 「面接の際、香港の学生と交流して問題意識が芽生えたことや、オンラインで1年間、カンボジアの子どもたちに日本語を教えるボランティア活動をしたことをアピールしました。SDGsを自分の問題として考えられるようになったことに加えて、1年間活動を継続できたことも自分の自信につながりました。そうした活動が実際の面接でどう受けとめられたかは確かめようがありませんが、ボランティアを通したそんな成長も評価された手応えはありました」
ボランティア体験から就活へ
清水さんは高校時代、SDGsの学習と実践の機会を提供するプラットフォームとして注目される先述の「ぼらぷら」でボランティアする機会を得ました。国際協力NGOとして20年前に発足し、カンボジアなどへの教育支援や施設建設などのために、日本からの海外ボランティアの派遣事業を行ってきた団体です。 「ぼらぷら」は、コロナ禍の収束後、海外ボランティアの派遣を再開する一方、SDGs関連の研修やSDGs検定の運営など、SDGsを広く知ってもらうための様々な活動を行っています。特に海外ボランティアは若い世代からの注目度が高いといいます。 「十数年前に『僕たちは世界を変えることができない。But, we wanna build a school in Cambodia.』という日本映画がヒットしたのが転機になって、カンボジアや海外ボランティアへの注目が集まりました。同時にSDGsという言葉も一般的になり、大学入試や就職試験でも、SDGsに関する活動を評価する傾向が大きくなっているように感じています」(「ぼらぷら」広報担当・大熊明日香さん) 「海外ボランティアを通して感じてほしいことは、社会と自分とのつながりです。世界や日本の社会で起きていることが、どのように自分に関わってくるのかを見て、自分事として考えてほしいと思います。これらの体験を通じて、将来の夢を考えたり、そのための進路を具体的に考えたりすることにつなげてくれればと思います。世界を見て、『あなたがやりがいを持てるストーリー』を描いてほしいです」(同) きっかけは大学入試のためだとしても、海外ボランティアなどを通じて、感じることや得られることは、多くあるでしょう。高校生のうちからこういった経験をしてみることは、自分の進路を見つめるいい機会になりそうです。