「えっ!」V12エンジン搭載のトヨタ「ランドクルーザー」が発売中!? 旗艦「センチュリー」の心臓部を移植した“夢のコラボ作品”の価格とは
当時の最新技術を駆使したトヨタの“至宝”V12エンジン
トヨタが1997年~2017年まで販売していた2代目に相当する先代「センチュリー」は、日本で唯一、市販車として5リッターのV型12気筒エンジンを搭載していました。 【画像】「えっ…!」これが日本車唯一のV12エンジンを移植した60系「ランドクルーザー」です(11枚)
先代「センチュリー」は日本市場向けの専用モデルだったことから、海外のエンスージアストから、トヨタが手がける“幻の12気筒エンジン搭載車”として羨望の眼差しが向けられてきました。 そんな12気筒エンジンを、なんと60系「ランドクルーザー」に搭載した車両が販売されています。トヨタが誇る60系「ランドクルーザー」に最高級車「センチュリー」のV12エンジンを組み合わせるという大胆な発想を実現させたのは、マレーシアのカスタムビルダー・USJ 4×4ガレージです。 ベース車両となったのは、1987年式の60系「ランドクルーザー」。当時のハイグレード仕様である4リッター直6ターボエンジンを搭載した5速MTのハイルーフ仕様車です。 60系が選ばれた理由のひとつは、その広大なエンジンルームでした。トヨタのエンジニアたちは、60系に多彩なエンジンを搭載することを想定し、余裕を持った設計をおこなっていたのでしょうか。 移植されたのは、トヨタの至宝とも呼べる1GZ-FE型のV12エンジンです。「センチュリー」専用に開発されたこのエンジンは、片バンクごとにDOHCヘッドを備え、可変バルブタイミング機構や10.5:1という高圧縮比、電子燃料噴射システムなど、当時としては最新の技術を結集していました。 公表値は、最高出力295ps/5200rpmと控えめでしたが、USJ 4×4ガレージが実施した正確なパフォーマンステストでは、ホイール側の出力値で250ps以上をマーク。駆動系のロスを考慮すると、エンジン部の出力は優に350psを超えているはず、とのことです。 ●ボディは“全バラ”。オフローダーにふさわしい走破性も確保 60系「ランドクルーザー」へのエンジン移植は、単なる“載せ替え”では済まなかったようです。 専用のエンジンマウントと排気系の製作は当然のこととして、「センチュリー」のATを60系のトランスファーケースに結合させるという難題も克服しなければならなかったようです。 また、万一のトラブル時に、片バンクの6気筒分だけでの走行を可能にする純正ECUの機能を維持することで、未知の領域を走破するリアルオフローダーにふさわしい信頼性も確保しています。 足回りは、5リッターV12エンジンのポテンシャルを活かすべく、大胆な強化が施されています。 14インチものストロークを誇るエアサスペンションシステムを採用し、前後のアクスルにはARBエアロッカー、RCVクロモリシャフト、ユーコン4.88ギアを組み込んでいます。 38.5インチという巨大なタイヤの採用は、このマシンがいかにオフロード指向のモデルであるかを如実に物語っています。 カスタムに際して60系のボディは“全バラ”され、フレーム補強、2ドア化による軽量化、オーバーハング短縮によるアプローチ&デパーチャーアングルの改善など、オフロード性能の向上に主眼を置いた改造が施されています。 また、フロントとリアのバンパーやリアのキャリアセクションには、軽量かつ高強度なクロモリチューブが採用されています。 現在、この「センチュリー」の12気筒エンジンを搭載した60系「ランドクルーザー」は、7万ドル(約1104万円)で販売中です。USJ 4×4ガレージによると、これは製作に費やしたコストを大きく下回る金額だそうですから買い得なのかもしれません。
古賀貴司(自動車王国)