2024年を振り返る「ニュースこの1年」元日に北陸地方を襲った能登半島地震 被災者の苦悩続く
富山テレビ放送
元日に能登半島地震が発生した2024年。 今週は、富山の1年を分野別に振り返ります。 最終日の20日は、元日に北陸地方を襲った能登半島地震です。 元日午後4時10分ごろ、能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生。 石川で最大震度7、県内は、観測開始以来初めて震度5強の揺れに見舞われました。 富山市のショッピングセンターでは天井が崩れ、落下。富山市内のパチンコ店では、天井が崩落、重傷2人を含む8人がケガをしました。 氷見市中心部では家屋2棟が倒壊。住人3人が取り残されましたが、消防隊員に無事救助されました。 氷見市では、市内全域のおよそ1万4000世帯で断水が発生。多くの人が避難所に身を寄せました。 *青井博子さん 「ここが崩れそうなので柱を入れて支えている」 氷見市中心部の栄町、元日の地震による液状化で大きな被害が出ました。 縫製業を営む両親と3人で暮らす青井さん。自宅の損壊が激しく、応急住宅を手配しましたが住み慣れた、この地で生活を続けています。 *父・潔さん(75) 「(仕事が)遅れてます。震災で1カ月は仕事にならなかったですから。朝5時には目が覚めて、目が覚めたら仕事にかかろうかって。(応急住宅に)泊っていたら行ったり来たりする時間がもったいない。仕事をしてある程度の収入を得ないとうちの家計が成り立たないから。 *青井博子さん 「氷見市はどんどん復興してきて観光客の方も来ているけれど、この辺の人たちは1月2月から動いていない。取り残されている訳ではないけれど、なんとなくそういう感じがしないでもないかな…」 今回の地震では、住民同士で助け合う「共助」の力が試されました。 氷見市姿地区。市の避難所にいけない住民らが自主避難所を開き、避難生活を送りました。 *姿地区区長 山本譲治さん 「集落の皆さんには炊き出しに手伝いに来てもらったり、皆さんの力があってこの避難所が成り立った」 しかし、地区には住む家を失った住民が離れていく不安が広がっていました。 *住民は 「あれもだめ、これもだめ、国の基準で査定しますと言っていたら、だんだんここを離れっていってしまってゴーストタウンや」 「ここを本当に離れたくない。石垣の崩れを何とかしてここに住めるようにしたい」 3月末、姿地区では市が被災した建物を撤去する「公費解体」が始まりました。 *姿地区区長 山本譲治さん 「だんだん風景が変わっていくと思う。この一帯が解体するようになったら。自分もここに60数年住んでいるが、やっぱり見慣れた風景が変わるので寂しい思いがある」 道にあふれ出る水、沈み込む電柱。 液状化が発生した高岡市伏木地区では道路や建物の一階部分が泥に覆われました。 高岡市内では、先月末時点で5490軒の住宅が地震で被害を受けています。 これは、氷見市に次いで県内で2番目の多さですが、公費解体の対象となる全壊は0件、半壊は152件と市内の住宅被害の3パーセント足らずです。 漁場が崩壊したとみられる海底地滑りは、富山湾の底に網やかごを仕掛ける漁業に大きな打撃を与えました。 11月で漁を終えたシロエビの漁獲量は、前の年に比べ65%減の193トンにとどまり、記録がある1985年以降で最も少なくなりました。(県水産研究所調べ) また、ベニズワイガニは今シーズン漁が解禁された9月から先月まで3か月間の漁獲量は前の年の8割程度となり、やや落ち込んでいます。(県水産研究所に聞き取り) *シロエビ漁師 野口和宏さん 「今年は獲れなかった。歴史的な不漁」 先月開かれた県の復旧復興本部員会議。 復旧・復興ロードマップの新たな柱として、再来年7月までに地震の被害想定と津波シミュレーションに関する調査を実施し、県の地域防災計画に反映するなど「地域防災力の向上」が盛り込まれました。 そして、津波警報で突き付けられた避難行動の課題も横たわったままです。 事前災害への備え、復旧・復興の道のりの遠さ、能登半島地震により県民の防災意識、対策が根本的に問い直される1年となりました。
富山テレビ放送