「維新の会」と「立憲民主党」は本当に日本のことを考えているのか?その試金石となるのは「野党間予備選挙」だった
黒船なき令和の日本で、革命なき安逸の日々のなかで、激烈な政権交代は起きるのか? しかし、いま変わらなければ――かならず日本は、沈む! 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 百戦錬磨の戦略家、橋下徹(55歳)。時代を見定め、歴史を洞察し、日本人の本質を透徹した先に見えた悪魔的リアリズム、それが「政権変容論」だ。橋下氏は言う。 「『政権変容』が劇的に新しいのは、自民党がどうであろうと関係なく、野党が腹を括って決断しさえすれば次の総選挙で実現できるところです」 2024年の選挙から、グレートリセットは始まるのだ。 7月19日発売の最新刊『政権変容論』(講談社刊)から、特別に内容を抜粋してお届けしていこう。 『政権変容論』連載第38回 『維新の会は“東京15区”を諦めろ!…橋下徹が語る、自民党を破り“日本の政治”を変えるための「第一歩」とは』より続く
法の支配を要求するために
橋下:ただ2015年の大阪都構想の住民投票に至る8年の経過すべてを実体験した国政維新の幹部は実は現在いないのです。 馬場さんも、井上さんも途中から入ってきたメンバーだし、維新オリジナルメンバーの浦野さんも途中で国会議員になってしまったので、大阪政治から離れてしまいました。ですから僕が、当初の維新が、どれだけ多数決、投票、ルールというものを重視していたかということにも、理解が少ないのかもしれません。 維新の国会議員はロシアによるウクライナ侵攻についても、「法の支配」というものを強調してロシアを非難します。中国にも法の支配を求めます。法の支配とは、自分に不利なことであってもルール、結論に従うという理念です。そのような姿勢があるから、相手にも法の支配を要求できる。 自分が有利なときには従う、自分が不利なときには従わないというのであれば、相手も自分が有利なときにしか従わなくなり、法の支配は無力化します。そして、法の支配の内実の一つである手続き的保障とは、十分に主張を尽くしたのであれば、最後の決定に従うというものです。 今回、東京15区、長崎3区で維新は全力を尽くして、有権者の投票によって負けたのです。そうであれば、次の本選挙に候補者を立てられないという不利益を甘受してでも、有権者の投票結果に従うべきです。 そのような姿勢があるから、相手にも法の支配を要求できるのです。 維新は東京15区での補選に負けたので、次の本選挙では東京15区には立候補者を出さない。立憲候補者を応援するわけではないが、しかし立憲が自民と戦うことを邪魔もしない。自民党対立憲の一騎打ちの構図をつくるところまでは協力するが、あとは知らない。 これが政権変容を起こすための、最初の一手です。そしてこのような姿勢を維新が立憲に示せば、立憲が法の支配や立憲主義ということを真に理解しているのであれば、立憲も然るべき対応をとらざるを得なくなる。すなわち、来るべき本選挙に向けて、与野党一騎打ちの構図をつくり上げよう、それが日本の政治を変えることになる、という大きな政治判断をくださざるを得ない。