大相撲の「力士やお客さんに失礼のないように正確に、大きな声で呼び上げ」…十枚目呼び出し・陽平さん
大相撲の九州場所が今年も福岡国際センター(福岡市)で開催されている。一年納めの土俵では熱い勝負が繰り広げられ、チケットは28年ぶりに15日間完売。九州出身でご当所場所に臨むのは、力士だけではない。大盛り上がりの国技を支えている人たちを紹介する。 【表】大相撲の主な協会員の格付け
十枚目呼び出し・陽平さん(41)(本名・門岡洋平、出羽海部屋)
「ひが~し~」。九州場所の土俵に高らかな声が響いた。着物にはかま姿。手には白扇を持ち、独特の節回しで東西の力士のしこ名を呼び上げると、館内は盛り上がり、やがて緊張感に包まれていった。
熊本市出身で、中学卒業後に15歳で呼び出しの世界に飛び込んだ。現在は十枚目呼び出しとして、主に幕下上位の取組で土俵に上がる。「力士やお客さんに失礼のないように正確に、大きな声で呼び上げるように心がけている」と話す。
日々の仕事は、しこ名の呼び上げだけにとどまらない。場所前には他の呼び出しと一緒に土俵作りを担当。「土俵の整地など、力士がケガをしないよう細心の注意を払っている」と語る。勝負審判を務める親方の身の回りの世話など、取組が円滑に進むようにすることも大事な役目だ。
角界入りを決意した時から「この道を極めたい」と思い、毎場所、全力で仕事に取り組んでいる。ご当所場所に「気合を入れて頑張りたい」。伸びのある声で、相撲に花を添える。