松山英樹のパッティングの進化 練習中の“レーザー”は何のため?
一連のチェックが終わった後に、次は早藤将太キャディがセットした練習器具(ペルツ)で球を繰り返し打つ。ヘッドの幅にティが刺さっていて、ストロークが正しい軌道から極端に外れると、ティに当たってしまう。また、打ち出したボールの方向がズレると、すぐに小さな球体の障害物に当たる。軌道とフェース向き、そして出球の管理を同時に行えるドリルというわけだ。時折、「ストロークの矯正になると思って」(松山)と今週投入した長いスラントネックパターに持ち替えて球を打つシーンも見られた。フェースが開閉しやすく、ヘッドを真っすぐ動かし過ぎる悪い癖を矯正できるという。朝の練習はざっと30分ほど、一打たりとも意図のない球はないように見えた。 プロアマ戦から上がってきた松山は、パッティンググリーンに直行し、再び球を転がし始めた。その横ではマシュー・フィッツパトリック(イングランド)や、ザンダー・シャウフェレといったトップ選手たちも黙々と練習していたが、単純に球をカップに入れる練習をしている選手は少なく、意図のあるドリルをやっている選手がほとんど。「成長するのをあきらめた瞬間にそのエリートフィールドから蹴落とされる」。そんな無言のプレッシャーがひしひしと伝わってきた。5月とは思えない強い日差しが照り付ける中、松山は汗をぬぐいながらひたすら球を転がし続けた。(ノースカロライナ州シャーロット/服部謙二郎)