日本でも「二重国籍」を認めるべき?なぜドイツは全面解除? パックン「外国人は帰化できるのに、日本人が海外の国籍を取れないのはかわいそう」
今年1月、ドイツで二重国籍を全面的に容認する法改正がされ大きな話題となった。これまでEU加盟国の出身者に認めていた制限を撤廃したかたちだ。ドイツの報道によると、「国籍の安売りだ」などの反対意見も多い中、外国人の労働力を確保するため舵を切ったという。 【映像】二重国籍になる4つのパターン 世界で見れば国連加盟国の76%が二重国籍を認める中、日本はいまだ認めていない。ネットでは「グローバルな時代だし、生き方も多様化している中、なぜ認めないかわからない」「二重国籍を認めると移民みたいな人が増えて治安が悪くなりそう」と賛否両論だ。 グローバル社会における日本の二重国籍の是非について、『ABEMA Prime』で議論した。
■海外では二重国籍がないと不利益? 認めない日本でも存在する“実情”
日本の国籍法では、「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」(11条1項)、「外国籍を有する日本国民はいずれかの国籍を選択しなければならない」(14条1項)とされ、原則、二重国籍が認められていない。必要性を訴えるドイツ在住36年の日本人・トルン紀美子氏は、ドイツ国籍を取得すると日本国籍を失うことになり、決断ができないという。 「結婚し、子どもも孫も生まれ、これからもドイツでの生活は続いていく。永住権は6カ月間海外にいると消えてしまうリスクがあるので、ドイツ国籍を取りたい。しかし、日本国籍がなくなると戸籍から除籍になってしまい、私が日本人であるというアイデンティティがなくなってしまう。コロナ禍のような場合、外国籍の人は日本に入れなくなる。世界情勢も悪くなっている中で、日本に確実に帰れるものを失いたくない」 また、ビジネス面でも圧倒的に不利だという。ドイツの場合の雇用の優先順位は、ドイツ国籍>EU国籍>その他で、就労ビザも二重国籍であれば取得が楽という。
国籍の取得・喪失に詳しい弁護士の近藤博徳氏は「差別という言い方をすることもあるが、国によっては日本以上に国籍のあるなしの扱いの違いが大きいところがある。例えば、EU加盟国の国籍を持っていれば圏内を自由に動けるが、持っていない人は毎回ビザを取らなくてはいけないので雇ってくれない。そういう待遇の違いからくるデメリットや不利益はたくさんある」と説明。 一方で、日本は二重国籍を容認しているのではないかという見方もある。二重国籍になった場合は国籍を選択しなければならないが、実際に催告があったケースはない。帰化した場合は外国籍の離脱に努めなければならないが、「努力義務」で離脱しなくても罰則はない。2018年の推計では、約92万人の重国籍者がいる可能性がある。