王林「東京の鳥は飛ぶのが速すぎて」「この街は何かに狙われている」 やっぱり「東京」が怖いワケ
地元・青森県で9歳から活動をスタートした。ローカルアイドルグループ・りんご娘に約9年間所属し、バラエティー番組で「東京が怖い」キャラでブレイク。ソロアーティストや俳優として活動し、ミュージカルに初挑戦する。多彩な活動の根幹にあるものは何か。 【写真】東京の許せないポイントを熱弁する王林さん * * * ■なぜ東京が怖いのか ――度々、「東京が怖い」とおっしゃっています。ずばり、「東京が怖い」と思ったのはいつからですか。まだ怖いのでしょうか。 王林 物心ついてから、初めて東京に行った小学校のころから、ずっと怖いです。 まず、人が信じられないくらい多くて、電車にはぎゅうぎゅうに人が詰まってる。しかも、すぐ次の電車にも同じくらいたくさんの人が乗っているのが怖いです。 高いところに赤いライトが付いている建物が多くて、「この街は何かに狙われているんだ」と思って恐怖を感じました。 東京に来た初めのころは、「東京の人を誰も信用してはいけない」「とんでもないことに巻き込まれる」と思って、誰とも仲良くしようとしなかったんですが、東京に来る機会が増えて、東京にも田舎から来ている人が多いことを知り、一緒に頑張っている仲間だと思えるようになって、東京にも友達ができましたし、東京の人に関しては考え方が変わりました。でも東京自体はまだ怖いです。 ■鳥が飛ぶのが速すぎる ――人が多すぎるのがネックなら、大都市圏も厳しそうだ。次に怖い土地はあるのか、尋ねた。 王林 大阪も人は多いけど、津軽弁があるみたいに、関西弁があるじゃないですか。それでホッとするし、フレンドリーな人が多いし、怖いという感じではないですね。東京がやっぱり。 ――東京の何が厳しいのだろうか。意外な答えが返ってきた。 王林 鳥が飛ぶのが速すぎるのが、許せないです。
■もっとリラックスして東京を楽しんで 王林 東京の鳥は地方に比べて飛ぶスピードも移動するスピードもちょっと速いんですよ。鳩も青森で見る鳩とは全然違う。東京ではいろいろなことが目まぐるしく起きてて、私たち人間はせかせかしてしまっているかもしれないけど、鳥まで急ぐ必要はないと思うんです。もっとリラックスして、東京という土地を楽しんでほしい。東京でも郊外にいる鳥はゆったり過ごしているけど、東京駅付近にいる鳥は特に生き急いでいるように見えます。 ──自分の中で、地元と東京にいるときとでは、気を張って「モード」は切り替えているという。津軽弁も、東京にいるときは少し抑えている。 王林 東京で青森の友達や家族と電話で話していると、マネジャーさんから「何言ってるかわからなかった」って言われます。だから、東京にいるときは常に同時通訳みたいな感じで「この言葉を使うと伝わらないな」って意識しながら話しています。 ──アイドルとして長年活動してきたこともあり、歌への思いも深い。自身初となるミュージカル出演作はWEST.の濵田崇裕&神山智洋がW主演を務め、大ヒット傑作コメディーミュージカルが新演出で蘇る「プロデューサーズ」だ。希望に満ちた女優志望のウーラを演じる。 ■ウーラと津軽弁を話す自分は重なる 王林 アイドルとして歌って踊ってきましたが、演技の経験はほとんどありませんし、「プロデューサーズ」という作品のファンの方がとても多いので、「私に務まるかな」という気持ちが強くて、最初は「どうやって断ろうかな」と思いました。 でも、私が演じるウーラはスウェーデンで生まれ、女優になるという夢を持ってブロードウェイにやってきます。ウーラにはスウェーデン語が交ざるところにお茶目なかわいらしさがある。東京で頑張っている自分、津軽弁を話す自分とも重なるので、初めて挑戦させていただくミュージカルとして運命を感じて、一生懸命頑張ろうと思いました。 ──歌とダンスに加え、演技もしなければいけない。初挑戦となるミュージカルの稽古場では、「主演の濵田さんと神山さんの存在に助けられている」という。