巨人キャンプが和やかな理由は「デーブ大久保さんがいなくなったから」 本人は取材に「不徳の致すところ」
春季キャンプ真っ盛りのプロ野球。中でも注目度が高いのは、今季から監督に就任した阿部慎之助氏(44)が率いる新生巨人の様子だ。チームの内情を探ると、心機一転のかいあってムードは上々のようである。特に“あの人”がいなくなったことが大きいのだとか。 【写真を見る】かつて阿部慎之助の指示で丸刈りにされた「イケメン捕手」とは?
巨人の春季キャンプは2月1日から宮崎県宮崎市で始まった。15日以降は沖縄県那覇市に移動して、28日まで開催される。 現地を訪れた野球評論家の江本孟紀氏によれば、 「昨年の春季キャンプと比べて雰囲気が大きく変わりました。今年は阿部新監督が良き兄貴分としてチームを引っ張っており、和やかな雰囲気が感じられます。とはいえ、甘いわけではなく、厳しいところは容赦なくいく。全体的にいい感じだと思います」
後輩を丸坊主にさせたことも
阿部監督といえば巨人の2軍監督を務めていた2020年、率いるチームが早稲田大学野球部に負けた際、選手全員に罰走を命じたことがパワハラ的な指導だと批判を浴びた。他にも、選手にしばしば懲罰ノックや居残り特訓を課していたとのことだ。 現役時代には巨人の後輩である小林誠司捕手(34)の態度が気に入らず、丸坊主にさせたこともあったほどだが、改心したのか。 「阿部さんは平成の時代に活躍した選手ですが、まるで昭和のスポ根漫画の登場人物のような感性と考え方を持っています。一言で言えば根性論者ですね。しかし、2軍監督時代にパワハラ的な指導が大きく取り沙汰され、球団から“コンプライアンスを遵守しなさい”と、きつくおきゅうを据えられてしまったのです」(スポーツ紙記者) その後、阿部監督本人も渋々ながら“時代に合った指導法を見いだしていく”と周囲に語るようになり、 「現在は選手への当たりが厳しくならないための、本音をグッと抑える感情のコントロールがうまくできるようになりました」(同)
「不徳の致すところ」
さる巨人の関係者は、今キャンプでチームの雰囲気が和やかな理由について、こう別の事情を語る。 「昨季、打撃チーフコーチを務めていた“デーブ”こと大久保博元さん(57)がいなくなったからです。デーブさんの根性論者ぶりは阿部さんどころではなく、さらに、監督を務めていた原辰徳さん(65)のほうばかりを向いて、選手にはつらく当たっていました。皆から総スカンだったといえます。今季はそんなデーブさんがいなくなり、チームが明るくなったのです」 当のデーブ氏本人に話を聞くと、 「私が原さんのほうばかりを向いていて、皆から嫌われていたという声があるのなら、それは不徳の致すところです。今、57歳にしてようやくこの言葉を本気で使えるようになったと思っています」 と、殊勝に語るが、 「以前、ある大企業の経営者からこんな話を聞いたことがあります。工場長の下で働く副工場長には、皆から嫌われるタイプの人材を配置するのだと。やはり組織には嫌われ役の管理職が必要で、そのような人材によってトップが守られることで、業務全体がうまく回るのだそうです。去年、打撃チーフコーチだった私が原監督の代わりに嫌われていたのなら、それは職責の上では成功だったのではないでしょうか」 今のところ“嫌われ役”がいない新生阿部巨人。さて、これが吉と出るか凶と出るか……。 「週刊新潮」2024年2月22日号 掲載
新潮社