作間龍斗、『どうする家康』『コタツがない家』で放つ“プリンス”としてのオーラ
NHK大河ドラマ『どうする家康』、『コタツがない家』(日本テレビ系)と夢中になっているドラマに作間龍斗が姿を見せる。「HiHi Jetsのメンバーというのは知っているけど、一体何者……?」とググり、映画『ひらいて』に出ていたことを思い出し、2年前に試写で観た記憶と今の記憶とがピタッと重なった。 【写真】『コタツがない家』では“ダメ男”の1人となっている作間龍斗 贔屓目なしに、作間にはそんな初見を惹きつける妖艶な魅力がある。作間にとって初めての映画出演となった『ひらいて』では手を伸ばしても届かない、今にも消え入りそうな儚げな西村たとえを演じていたが、『どうする家康』では豊臣の末裔として異彩を放つ秀頼を好演。母の茶々(北川景子)とはまた違った、ラスボスとしての風格を秀頼は纏っている。初登場を飾った第44回ラストは、柱に刻まれていく成長の記録の演出も相まって、ハードルはこれでもかというほどに高まっていったが、その期待をも悠々と超えていく神秘的なオーラを秀頼は帯びている。 家康(松本潤)は秀頼にかつての秀吉(ムロツヨシ)を重ねていた。それは底知れぬ狂気。第45回での雅な舞は、同じ“プリンス”として対照的な立場にいる徳川秀忠(森崎ウィン)との差を表していたが、二条城での会見で家康と対峙した秀頼は、自らがひれ伏することで民衆の反感を家康に集めることに成功する。表の顔と裏の顔、それも曖昧になるほどに凛々しく、そして聡明な秀頼には、秀吉以上のミステリアスさがある。甘い誘惑にこそ毒がたっぷり入っているのだ。 第46回では大坂の陣を前に、陣羽織を纏った秀頼が武士たちを鼓舞するシーンがあるが、その一方で寝所にて妻である千姫(原菜乃華)から「本当に戦をしたいのですか? 本当のお気持ちですか?」と問われ、「余は、豊臣秀頼なのじゃ」と頼りなく自分に言い聞かせる場面も印象的だ。秀頼は千姫の前だけは、ある種の“弱さ”をも曝け出しているように感じられる。 『コタツがない家』では、深堀家の長男で“ダメ男”の一人、順基を演じている。一見すると秀頼とは間反対の役柄にも思えるが、母の万里江(小池栄子)に隠れてアイドルになる夢を捨てきれないところは“プリンス”としての気品さを、さらになんだかんだで母親への愛情を持っているところ、口が達者なところなど、共通する部分も多くある。 ただ、何をするでも気だるいオーラを纏っているところは、秀吉ではなく悠作(吉岡秀隆)や達男(小林薫)の末裔と言うべきか。子供の頃からの夢だった和菓子職人として着実に歩みを進めながら、学生生活ではクラスメイトのれいら(平澤宏々路)との交際が始まり、ところどころでにやけ顔が止まらないところは、高校生としての真っ直ぐな一面でもある。 『どうする家康』と『コタツがない家』の2作で一般層にも広く認知され始めている作間。筆者は普段、女性アイドルについて記事を執筆することが多く、第46回でセリフのみながらその生存が話題になった五徳を演じる久保史緒里は、『どうする家康』への出演を通じて、乃木坂46への入口となっているメンバーの一人だと見ているが、それは作間も同様なのだと自分自身がその例になっていることにこの記事を書きながら気づかされている。
渡辺彰浩