岡本和真 14試合ぶりの一発の裏に長嶋茂雄さんとのゴジラ式極秘特訓
◆日本生命セ・パ交流戦 日本ハム0―2巨人(15日・エスコンフィールド) 巨人が“復活祭”で日本ハムに連勝し、2位に浮上した。0―0の9回無死一塁で、岡本和真内野手(27)が左中間へ14試合ぶりの11号決勝2ラン。投げてはF・グリフィン投手(28)が、来日初完封こそ逃したものの、8回2/3を5安打無四球無失点で3月30日の阪神戦(東京D)以来の2勝目を挙げた。最後は6月に2度セーブに失敗していたA・バルドナード投手(31)が7セーブ目をマーク。苦しんできた面々が勝利の立役者になった。 【動画】これぞ4番!均衡破った岡本和真の2ラン 豪快なフォロースルーに、岡本和の打球がすっ飛んでいった。打った瞬間、のけぞりながら歩いて見届けた。誰もが待っていた4番の一撃。14試合ぶりの6月1本目の11号2ランは、均衡を破る決勝2ランだ。ダイヤモンドを一周し、ベンチへ戻ると阿部監督、坂本、長野らが帽子を取って最敬礼。岡本和の最高の笑顔がはじけた。 「抜けてくれるかなと思ったんで、ホームランになって良かった。うれしかったです」 両チーム無得点の9回無死一塁。金村の真ん中高めの145キロ直球を完璧に捉え左中間席へ叩き込んだ。5月30日のソフトバンク戦(東京D)以来の一発。4番のひと振りが勝利をもたらした。阿部監督は「入ってくれって祈っていました。すごくチームにとっても大きいしナイスバッティングでした」と大絶賛した。 苦しい時間を過ごしてきた。今季、開幕直後は好スタートを切るも5月以降は低調な成績が続き苦悩した。「なかなかうまくいかないなって」。6月は18打席無安打も経験。ホームランも出なかった。「主軸を打たせてもらっているのでチームの勝敗に責任を持つのは当然のことだと思っている」。13日の楽天戦で6連敗を喫した試合後はベンチ内でしばらく動けなかった。 不振に苦しむ中で、5月26日の阪神戦の9回に放った9号同点ソロをテレビで見た巨人・長嶋終身名誉監督が「それだ! そのスイングを忘れないように」と、球団関係者を通じて連絡。翌27日、都内の大部屋に招かれた。 ミスターから、左手で握り拳を作ってインコースなどに手を置かれ、「ここだ! そう、それだ」と、声をかけてもらいながら約40分素振り。松井秀喜氏を不動の4番に育てあげた時と同じように、マンツーマンでスイング時の音にも気を配ってもらった。主砲は汗だくになりながら夢中でバットを振った。「そんな機会なかなかないからうれしかった。でも、僕が情けないからそうなってるっていうのもある。もっと頑張らないといけない」。奮い立たないわけがなかった。 「やれることはやろうと思って」。バットも複数本試した。普段かんでいるガムの味も変えた。必死だった。14日のフリー打撃後には阿部監督らとともにベンチ裏に下がって秘密特訓。バットの出し方や下半身の使い方を丁寧に見直し、交流戦MVPに輝いた昨年の6月のスイングがよみがえってきた。そしてこの日、周囲の期待に応えるような最高の結果を残すことができた。 岡本和の一発で巨人は連勝を飾り、2位に浮上。ここから乗っていくだけだ。「続けてやっていけるように、打てるように頑張りたい」。頼りになる4番がようやく帰ってきた。(宮内 孝太) 村田真一 Point 金村を打ち崩せない中、最後の最後に4番打者が決めてくれた。打った結果もお見事やけど打球の方向がいい。内角の甘い球を強引に引っ張らず、左中間へ運んだ。少しドアスイングで引っ張り気味になっていたことが、調子が上がってこない一因やったけど、バットが内から体に巻きついて出るから、あそこへ飛んだ。これこそが(岡本)和真の本来の当たりで、完全復活へとてもいい兆しやと思うよ。 記録室 岡本和(巨)が9回に先制2ラン。これが決勝点となり、巨人が勝利した。 巨人の得点は岡本和の一発で挙げた2点だけ。岡本和の本塁打で挙げた得点だけで巨人が勝利したのは([本]は本塁打の打点) 年・月・日 相手スコア[本] 18・4・ 1対神3―2[3] 19・8・16対神2―1[2] 20・8・18対神1―0[1] 23・5・24対D1―0[1] 8・ 3対ヤ2―1[1][1] 24・6・15対日2―0[2] 1試合2発で全得点だった昨年8月3日以来6度目。完封だったのは3度目だ。 岡本和の本塁打は、5月30日ソフトバンク戦以来。6月は初本塁打で、交流戦では2本目になる。レギュラーに定着した18年以降、岡本和の交流戦のシーズン最少本塁打は、18年の3本。最終戦で上積みしたいところだ。(福山 智紀)
報知新聞社