洋上風力汚職、贈賄側が否認に転じる…「検察は馬主組合が100%秋本被告のものと決めつけて起訴した」
政府の洋上風力発電事業を巡る汚職事件で、「日本風力開発」(東京)側の依頼で国会質問をした見返りに計約7280万円の賄賂を受け取ったなどとして、受託収賄罪などに問われた前衆院議員・秋本真利(まさとし)被告(49)らの初公判が25日、東京地裁(矢野直邦裁判長)であった。秋本被告は「現金は受け取ったが、利益供与ではない」と同罪について無罪を訴えた。
公訴時効(3年)にかからない約4180万円分の贈賄罪に問われた同社元社長・塚脇正幸被告(65)も「贈賄したという起訴事実は全くの誤りだ」と無罪を主張した。
起訴状によると、秋本被告は2019年2月~22年2月、同社が事業参入で有利となるよう塚脇被告から国会での質問を依頼され、その見返りとして、19年3月に現金3000万円を無利息・無担保で借り入れたほか、20年4月~23年6月には、両被告らが設立した馬主組合を介するなどして計約4280万円の提供を受けたなどとされる。
検察側は冒頭陳述で、秋本被告は風力発電事業者との会合を通じて塚脇被告と顔見知りになり、遅くとも18年頃から塚脇被告から個人的な接待を受けていたと指摘。馬主だった塚脇被告に、秋本被告が「自分も馬主になりたいが資金が足りない」と相談したとした。
そして、塚脇被告が「秋本被告に馬主生活を楽しむ環境を与えれば、自社に有利な取り計らいを受けられる」と期待するようになったと言及。日本中央競馬会の馬主登録のため、不足していた資金3000万円を秋本被告に貸し付け、馬主組合の名義で購入した馬の代金などを塚脇被告が支払っていた、と説明した。
検察側は一連の貸し付けや資金提供は、同社の事業参入に有利となるような国会質問などへの謝礼と主張。事業者選定の評価基準見直しを求める質問をしてほしいとの塚脇被告の依頼を受け、秋本被告が22年2月の衆院予算委員会で「評価の仕方を見直していただきたい」と発言した、と述べた。