【時論】政治危機でも必要な韓日関係の再構築
国会で弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の12・3非常戒厳は、大韓民国の外交・安保に大きな波紋を起こし、各種の日程と懸案に打撃を与えている。その間進行されたグローバル中枢国家外交はほとんど停止した。韓米外交・国防ラインが意思疎通を再開したが、20日のトランプ大統領就任式を契機に実質的な意思疎通が実現するかは見守らなければいけない状況だ。 戒厳・弾劾事態の前で、正常に展開されてきた韓米日安保協力と欧州国家との協力外交も非正常状態に直面した。韓日関係だけを見ても12月中旬と1月中旬に予定されていた外交日程がすべて取り消しになった。韓日シャトル外交はまともに稼働するのが難しいとみられる。 今の状態なら、韓日国交正常化60周年を記念して新しい韓日関係のための里程標を設置できるか心配だ。難しい時期であるほど、韓日両国の官民が共に努力して、新しい韓日本関係が再構築されるようにしなければいけない。 韓日は1951年から始まった難しい交渉を通じて、1965年6月にようやく国交正常化を実現させた。当時、韓日両国の見解の違いが大きかったが、ひたすら未来のために関係正常化に到達した。その後、長い歳月が流れる間、両国は歴史問題などをめぐる立場の違いで葛藤が深まる時期もあったが、協力するという大きな枠組みの中で関係を維持してきた。 特に冷戦終息後、1998年に金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相は歴史的な「金大中・小渕宣言」を採択し、韓日関係の未来構築のための序章を開いた。その後、両国は韓日パートナーシップ宣言に基づいて協力メカニズムを強化する努力をしてきた。しかし最近の世界的な環境の変化を受け、新しい韓日関係を再構築する必要性が高まった。特に韓日両国の政治状況、歴史認識、東アジア協力戦略など対内外の環境変化で協力関係が後退することも考えられる状況だ。こうした中、韓日協力関係の一貫性のある維持のためには韓国が国内政治的危機を賢く克服することが優先課題といえる。 また修交60周年を迎えて韓日両国はさらに進展した協力メカニズムを作り出さなければいけない。未来のための協力強化と葛藤予防に焦点を置いた後、2つの努力が必要といえる。まず、韓日の協力メカニズムを維持・発展させる両国の協議体が必要だ。その間「韓日フォーラム」のような会議が役割を果たしたが、もう少し具体的に事業の結果を出せるようにするべきだろう。敏感な歴史・領土関連イシューをうまく管理できる協議体を運営し、合同会議を進めながら葛藤の拡大を予防しようということだ。この過程で両国の関連機関がコントロールタワーとなり、両国の専門家が相互協力して政策を実行しなければいけない。このように導出された政策と研究の成果が蓄積されるほど、韓日両国の指導者がより合理的で未来志向的な決定を出せるようになるはずだ。 2つ目、韓日両国が過去60年間に蓄積してきた友好関係をより一層強化するには、両国の発展を可能にした前向きな協力の歴史を記憶する必要がある。両国ともに自由民主主義に基づき、議会民主主義を発展させ、着実に民主主義と市場経済を拡大してきた歴史を持つ。こうした自由民主主義に基づいた相互協力・支持が強化されれば、両国関係もさらに強まるはずだ。韓日両国は今後も自由民主主義の価値と制度が外部から侵害されないよう努力しなければいけない。金大中・小渕宣言が提示したアイデアと行動計画は韓日協力関係を維持・発展させる良いモデルになるとみる。 今年は韓日国交正常化60周年の行事のほか、4月の大阪万博開幕、秋の慶州(キョンジュ)アジア太平洋経済協力会議(APEC)が予定されている。いつよりも韓日関係の強化と韓米日の協力が求められる。崔相穆(チェ・サンモク)副首相の大統領権限代行体制で早く国政が安定することを望む。憲法裁判所の決定に基づいて早期に大統領選挙が行われる可能性がある。韓国が政治的混乱を早期に収拾し、韓日関係がまた順風を乗ることを強く希望する。 イ・ジョングク/21世紀国家安保戦略研究院東アジアセンター所長 ◇外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。