「谷繁氏と黒田氏が野球殿堂入り。年下ですが、入るべき人物です!」【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】
つい最近まで警察官などは全員年上の人ばかりだと思っていました。小さいころの感覚のままですからね。でも最近は、ほぼ全員年下ということが分かり、私も歳を取ってしまったなあ、と思うことがあります。その流れで言えば、野球の殿堂入りをしている人たち=全員が年上の伝説の人で偉人、というイメージが今でもあります。 【選手データ】黒田博樹 プロフィール・通算成績 先日、谷繁元信さんと黒田博樹さんがその野球殿堂入りを果たしました。2人とも私より年齢は下です。一緒の時代にプロ野球でプレーをした同志です。心から祝福したのと同時に、そういう年齢に自分もなったのかあ、という思いと、殿堂入りのイメージとのギャップがあるのも事実です。 発表後すぐにシゲに……いや、谷繁さんに……LINEをして「おめでとう!」と打ちました。「ありがとうございます」という返信をもらい、個人的に「おお! 殿堂入りの人とLINEしちゃったよ」と感動していました。 そんなシゲ(ここからは普段どおりの呼び方にします)は、捕手としてはそこまで体は大きくないほうです。当時、コリジョンルールはない中で、走者からの体当たりなどは当たり前の時代に、ホームを守り抜きました。その体の強さは一級品です。 守備の面では佐々木(佐々木主浩)のフォークを止め始めて、信頼を得てからは、さらにその守備力に磨きがかかっていました。配球面では、変化球投手なのに、何球も平気で真っすぐのサインを出し続けるなど、エサを撒いたりと駆け引きが実にうまかったですね。打撃も本塁打がある八番でしたが、外角で勝負するとポーンとライト前にヒットを打つなど、厄介な打者でした。 40歳を過ぎても、スローイングの正確性とスピードは衰えなかったですしね。唯一彼が中日に残した弊害は、次の正捕手が育たなかったこと。いまでもその状態が続いていますが……でもやはり殿堂入りするにふさわしい人物です。 黒田は、選手として直接対戦したことはありません。しかし、広島の方面からは、彼に対する悪い情報を聞いたことはないですし、彼の先輩方が、黒田を尊敬しているということも聞くくらい、人物としても素晴らしい人格者だと聞いています。 私が楽天監督時代の2015年。交流戦(マツダ広島)で黒田と対戦しました。低めに丁寧に投げ、ときに高めに釣り球を投げる。もう手も足も出ない完ぺきな投球をされたことを覚えています。調べてみると7回4安打無失点。そのときのマウンドでの気迫の投球は今でも覚えています。 彼らは野球殿堂に入って野球界の偉人となりました。この先50年後、100年後も、2人が野球界に残した功績は語り継がれていきます。それにふさわしい人間性と成績を残しています。本当に、おめでとうございます! と心から拍手を送ります。
週刊ベースボール