iriの歌声は「本当に景色を持っている」 ハナレグミがコラボの感想を語る
見たままを切り取っていく
今作はコラボレーションアーティストたちによる作詞の曲も多く収録されており、永積は「そういう部分では自分は歌に思い切り徹して臨む、という感覚はありました」と振り返る。 永積:でもさっき話したみたいに、なにかお互いの感覚を共有してからの楽曲だったので、まったく自分と遠い感覚は全然ありませんでした。ちょっと自分の背中を見るようなというか、自分が一生見られない背中を書いてもらったのかな、という感覚でとらえています。 クリス:飲みに行ったりとか、面識があってなんとなく気ごころが知れているという。会ったばかりではなく、どちらかというと何回かキャッチボールをしたというか。 永積:自分はGEZANがすごく好きなんです。あとはマヒトゥくんが作った『i ai(アイアイ)』という映画とか、本当にすごい才能だなと思って。彼がなにか作ってくれた言葉を歌ってみたいという、単純にそういう(気持ちで頼んだ)。 クリス:マヒトゥさんやiriとはスタイルも全然違うけれども、共通しているのはヤングなところですね。いわゆるいまの若手のミュージシャン、自分がデビューした当時やSUPER BUTTER DOG時代から、いまのミュージシャンとどこが違うと感じますか? 永積:iriに関してはグルーヴというか「リズムに対してこういう言葉を乗せてくるんだな」と。あとはいまの若いヒップホップの子たちのリリックを見ても、そのまま見たままを切り取っていくんだなというか。僕はそのスピード感といまの時代がすごく合っていると思うし、新しい言語観を感じるんですよね。「あ、もうこの言葉にしてもこんな風にムード出るんだな」とか。前の自分の感覚だと、なんかそこに意味をなんとか持たせようと時間をかけていたけど、これぐらいスパッと目の前のものを言い切るということもかっこいいなと。それは今回参加してくれた2人もそうだし、世の中の世代が下の子には感じています。 クリス:言葉を吟味するというよりはひらめき感というか、インスピレーションみたいなものがすごくドンズバだったみたいな。 永積:遊び心があるというか、そういう言葉に対しての自由度が僕は高いのではないかなと、それはすごく感じます。