大谷翔平と菊池雄星を育てた名将が、二人に教えた目標設定術
経営者、アスリート、教育者、歴史上の偉人など、成功者と呼ばれる人は困難に直面した時にどのように考え、行動してきたのか。それを知ることはきっと、一度きりしかない人生を自分らしく生きるための学び・教訓となるはずだ。学校では教えてくれない、人生で本当に大切なこととは? 『毎週1話、読めば心がシャキッとする13歳からの生き方の教科書』より、一部を抜粋・再編集して紹介する。第1回の語り部は、花巻東高等学校硬式野球部監督・佐々木洋(ささき ひろし)。 【写真】「子どもの卒業式まで生きたい」余命3ヵ月の女性が起こした奇跡
花巻東高校野球部監督、佐々木洋の人生を変えた一冊の本
岩手の田舎に育ちましたから、遊びも野球くらいしかなくて、周りに導かれるように自然に野球を始めました。 甲子園に出場してプロか社会人で活躍したいと思っていましたが、結局選手として花を咲かせることはできなくて、大学の時に戦力外で2年生の時に寮を出されました。初めての一人暮らしに最初は心を躍らせていたんですが、家具を揃え、テレビのスイッチを入れた途端、急に虚しくなったんです。 悩んだ挙げ句に、それまで活字を見るのも嫌だったんですが、答えを求めて初めて本屋に行きましてね。そこで目に留まったのがナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』という本でした。 そんなわけないだろうと思いながら手に取ったんですが、ページをめくるうちに、自分はそれまで大切なことを教わっていなかったことを痛感したんです。 それまで「夢を持て」「目標を持て」と散々言われてきたんですが、ではどうやって夢や目標を立てたらよいのかということについては、何も教わっていなかったんです。 類書を片っ端から読んだら書かれていることは同じで、数値で具体的に表すこと、期限を決めること、ワクワクする内容であること、紙に書き出すことなどが大事だと分かってきました。 それで、野球選手としてはダメだったけれども指導者として成功したいと思って、「28歳で最年少監督として甲子園に出る」と書いたんです。そうしたらいろんな巡り合わせのなかで花巻東の監督に就任することができて、本当に28歳で甲子園に出場することができたんです。