地下水影響ないルートを 小浜ルート巡り 京都府酒造組合連合会 府と市に要望 議論に影響か
●枯渇や水質変化を懸念 北陸新幹線敦賀以西の小浜ルートを巡り、京都府酒造組合連合会は3日までに、酒造りに不可欠な地下水に影響を及ぼさないルートを政府・与党に求めるよう府と京都市に要望した。豊富な地下水脈の枯渇や水質の変化に懸念を示した。京都は酒造りが盛んで、地元組合の要請は今後の延伸議論に影響を与える可能性がある。 敦賀以西の延伸を協議する与党整備委員会が年内に京都駅付近を通るルートを3案から絞り込むことから、2日に西脇隆俊京都府知事と松井孝治京都市長宛てに要望書を提出した。 要望書では、京都駅の東西を通る「東西案」について「市街地では北から南へ流れる地下水脈の遮断、井戸の枯渇、水質の変化まで危惧される非常事態」と指摘した。 京都駅を南北に貫く「南北案」に関しては、市南部の伏見地区の酒蔵が使用する井戸の深さが40~100メートルで新幹線のトンネルの深さとほぼ同じであるとして懸念を示した。一方で、京都駅から約5キロ離れた「桂川案」には触れていない。 ●水は「酒蔵の生命」 京都の地下水は酒造りのほか、豆腐や和菓子、湯葉などの製造にも用いられている。要望書には、伏見地区で酒蔵が協力して地下水の保存に取り組んでいることも紹介し「地下水とは『酒蔵の生命』」と明記した。 市によると、要望を受けた松井市長は「京文化の大きな軸である酒造の代表者からの要望は市の将来を考える立場として非常に重く受け止める」と応じた。 酒造組合連合会は2017年にも府と市に要望書を提出し、その後も意見書を出して地下水への懸念を示している。 敦賀以西の整備を巡っては、石川や富山の首長や経済関係者から米原ルートへの再考を求める声が上がり、自民党の京都府議団は府内全域に延伸効果が波及するルートを求めている。酒造組合の担当者は取材に「ルートの再考や新幹線の建設反対を求めるものではない」と強調した。