ココア、機能性表示食品が拡大 健康価値に支持 一過性で終わった過去と異なり定着化の兆し
機能性表示食品のココアが拡大している。 インテージSRI+によると、機能性表示食品のインスタントココア(ココア)の販売金額は2022年(1-12月)、21年比9倍強の3億7000万円へと急拡大。23年は22年比2倍強の8億3000万円となった。 ココア市場における機能性表示食品の販売金額構成比は21年0.4%から22年3.4%、7.4%へと上昇した。 機能性表示食品のヘルスクレームによる健康価値が、飲用者の実感を伴いながら受け入れられていることが好調の要因とみられる。
ココアは過去に何度か、TV番組などで健康価値が取り上げられ、その度に需要が急増した。しかし、長続きすることはなく、ほぼ全てが一過性で終わっている。 今回の動きは、従来とは明らかに異なり、トライアルからリピートへの流れが着実にできている。この動きに加えて、一部で機能性表示食品からココア定番商品への流入の動きもみられ、市場全体に新風を巻き起こす可能性がある。 近年の好調要因についてインテージ市場アナリストの木地利光氏は「整腸の効果を訴求する商品がとりわけ人気。コロナ禍で腸活による免疫力向上への関心が高まっていることに加えて、風邪やインフルエンザなどの感染症が広がっていることも需要を拡大させたと考えられる」と分析する。 機能性表示食品ココアのパイオニアは、片岡物産の「バンホーテンの腸活ココア」(腸活ココア)。21年秋に発売開始され、前述のカテゴリー急拡大の立役者になっている。 前期(2月期)で2桁増の売上高、発売開始以来2年連続の成長を見込む。 同商品のヘルスクレームは“腸内フローラを改善しお腹の調子を整える”。 支持されているポイントについて「機能性だけでなく、『ピュア ココア』と砂糖、イヌリンのみという原材料がシンプルであるという点も好調の一因になっている。SNSでも原材料が3つという点に触れられ、話題になることもあった」(片岡物産)と説明する。 20代から70代までの幅広い年代の女性に支持されており、「今までココアを飲まれたことのない方を多く取り込むことができた」という。 「腸活ココア」のトライアルをきっかけにリピートや「バンホーテン」ブランド内での買い回りも定着化しつつあるという。 「『腸活ココア』のユーザーが“たまにはもっと甘くゆったりできるテイストのものを”ということで『ミルク ココア』も手に取られる流れが広がっており、ブランド全体の活性化に貢献している」と語る。 森永製菓は、機能性表示食品の「カカオの力」が市場を上回る好調ぶりを見せる。 「カカオの力」のヘルスクレームは“末梢の血流を改善し手先表面を温かく保つ(血流改善)”と“カカオリグニンが便通の気になる方のおなかの調子を整える(腸活)”の2つ。 昨秋パッケージを刷新し、“血流改善”と“腸活”のアテンションをより大きくデザイン。この施策効果もあり販売は引き続き上々。「市場を大きく上回って推移し、50代以上の健康に関心の高い女性に多く支持されている」(森永製菓)という。 なおインテージSRI+によると2023年のココアの市場規模は前年比3.2%増の112億円となった。