元巨人・村田修一が月給40万円からの再出発に込めた「僕の道を歩む」の覚悟
BCリーグは、4月7日から9月9日までがシーズンだが、球団サイドは、もしNPBからのオファーがあれば、いつでも契約を途中解除してNPB移籍を優先できるという特別の契約体勢でバックアップする。 だが、こればかりは村田がコントロールできない話。 「期限としては7月31日。それまでに復帰があるのか、ないのか。僕が判断することじゃない。来てくれと声がかかればいく、かからなければいけない。その先のことはまったく考えていない」 新外国人の不振や主力の怪我など、アクシデントが起きた球団が、昨季118試合に出場、打率.262、14本塁打、58打点の成績を残し計算の立つ村田に声をかける可能性は十分にある。 そのときにすぐに戦力になるためには、栃木で全力プレーを心がけて、戦闘モードを高め、心身の準備を万全にしておく必要がある。だから腰掛気分などない。 「今までのように守って、打って、チームに貢献することが大前提。数字的な目標はないが、出た試合で、1打席、1打席集中してやりたい。NPBよりもレベルは下だろうが、野球に対する気持ちをNPBと比べるのは失礼。上を目指して野球に真摯に取り組む若い人が多い。僕はプロで15年やったが、そういう気持ちを忘れている。見習って取り組みたい」 NPBでプレーすることを目指している他チームの投手は、村田をキリキリ舞いさせて、プロのスカウトにアピールしたいだろうが、村田は、洗礼を浴びせるつもりでいる。 「向かってきて構わない。体の近くに投げても構わない。受け入れる心の準備をしてここに座っている。どんどん向かってきてもらっていい」
BCリーグでは、NPBの2軍や3軍との交流戦も組まれていて、5月11日からは古巣巨人の3軍との3連戦がある。その頃、村田が、栃木でプレーしているかどうかもわからないが、「1軍選手がいない。僕がいた球団とは別のチーム。ブレーブスファンのためにバットを振るだけ。古巣という感覚はまったくない」と、プライドを見せた。くしくも、この日は、巨人の上原浩治(42)の復帰会見も行われた。それでも、巨人絡みの「記事は読まないようにしている」という。 「僕は僕の道を歩む。巨人は巨人でペナントを制する目標がある。そこへ立ちいる必要はない。関係はない。僕の人生。自分のことを考えて正しいと思う道を進むだけ」 NPBの通算2000安打まであと135本と迫っているが、これについても「復帰することができていないので、その数字を積み重ねることはできない。その質問の答えは復帰したときに答える」とコメントした。 BCリーグでは、総年俸の上限を定めるサラリーキャップ制度が導入されており、村田の年俸も「規定の上限になります。シーズン中だけ支給される形です」(江部社長)となり、3月のキャンプ中は月額10万円、開幕したら月額40万円。巨人時代からは、88分の1に落ちるが、村田が求めるのは銭金ではない。 「野球をやりたい」というロマンだ。 単身赴任生活では初めて自炊にも挑みキャベツの千切りで「指をきりかけた」と笑う。 今日10日から小山のベースボールビレッジでキャンプインする。 「NPBのオープン戦にでも、今すぐ出場できる仕上がりにある。2月で体が仕上がっている、練習を見ていただければわかる」 3月17日には、立正大とのオープン戦、22、23日には、BCリーグの武蔵ヒートベアーズとのオープン戦があり、4月7日の開幕戦を迎える(本拠地開幕は翌日の8日)。 「まわりに支えられて野球を続けられている。辞めると決めたときは、まわりも納得して『お疲れさん』と言われるようにしたい。もう一度、支えてくれる人たちに感謝して野球をスタートさせる」――。 月給40万円から男・村田の再チャレンジが始まる。