【米国株ウォッチ】Q3決算終えたボーイング、年初来38%安で株価は割安か?
ボーイング(ティッカーシンボル:BA)は先日、2024年第3四半期(Q3)決算を発表した。収益は178億ドル(約2兆7400億円)で市場予想通りの結果となったが、調整後のEPS(1株あたりの純利益)はマイナス10.44ドルで、市場予想のマイナス10.34ドルを下回る結果となった。同社には、ボーイング737 MAXの生産にかかる問題と、労働者のストライキに起因する短期的な逆風が吹いている。 本稿では、直近の決算、バリュエーション、ボーイング株のパフォーマンスから読み取れる主なポイントについて解説する。 ■ボーイングのQ3決算 Q3決算で報告されたボーイングの収益は、前年同期比1%増の178億ドル(約2兆7400億円)であった。Q3における航空機の納入数は前年同期比10%増の116機だ。納入件数は増えた一方で、「民間航空機」部門の収益は前年同期比5%減少した。その一方で、「防衛・宇宙・セキュリティ」部門の収益は1%増加し、「グローバル・サービス」部門の収益は2%増加した。コストは上昇を続けており、営業利益率は前年同期のマイナス6.0%からQ3決算ではマイナス33.6%へと急落した。これは主に国際機械工・航空宇宙産業労働者組合(IAM)によるストライキの影響によるものである。 今後、ボーイングが労働者と合意に達するまで、損失は積み重なる可能性がある。増産には当初の予想以上に時間がかかるかもしれない。私たちはこうした背景を踏まえ、通年での収益が前年比10%減の700億ドル(約10兆7700億円)程度になると予想している。 ■ボーイング株の行方 今年、ボーイングは次から次へと問題に見舞われ、厳しい1年となっている。株価は今年に入って約38%下落しており、S&P500種株価指数が約22%上昇する中、市場全体のパフォーマンスを大きく下回っている。 私たちはボーイング株の目標株価を178ドルとしており、米国時間10月25日現在の約155ドルから約15%高い水準だ。私たちはこの目標株価の算出にあたり、株価売上高倍率を1.5倍としており、この数字は過去3年平均である1.8倍よりも若干低い。現在進行中の問題と短期的な収益性への影響を考慮すれば、この倍率の低さは正当なものと思われる。 私たちの予想では、今年度、ボーイングの損失は1株当たり16ドルあたりまで拡大するものの来年には生産の増加などから黒字に転換すると考えている。
Trefis Team