定年退職した親から「リフォームしたいけどお金が足りない」と言われました。私はすでに家庭を持っておりお金の余裕はありません。リフォーム費用を出すべきなのでしょうか?
60歳過ぎての住宅ローン
お父さまは再就職したとしても、何歳まで働けるか分かりません。今後の主な収入源は、年金となります。一般的に、年金生活者はローンのハードルが上がります。ただ、借りられても、収入に対する返済分の割合が大きくなることは避けられません。 一般的にリフォームローンの金利は高く、期間は短めです。例えば、500万円を借りて3%で20年の元利均等返済をした場合、月の返済額は2万7729円です(金融広報中央委員会 知るぽると「しっかりシミュレーション」で試算)。借入ができたとしても、年金生活者にとっては3万円に満たない返済額でも大きな負担になるでしょう。 いずれは子どもが相続するものなので、子どもが引き受けるしかないのでしょうか。 もし、月々の返済が利息のみだったらどうでしょう。一般的なリバースモーゲージは、不動産を担保にして資金を調達する方法ですが、生きている間は月々利息のみの返済、死亡したら担保の土地家屋を売却して元金を一括返済します。ただし、利用できる地域が限られます。 一方、リバースモーゲージ型住宅ローン(住宅金融支援機構「リバース60」)は、返済方法はリバースモーゲージと同様ですが、ローンを利用して建設、購入やリフォームした住宅が担保とします。借入した人が亡くなり、担保物件を売却して債務が残った場合でも、相続人が残った債務を返済する必要がないように契約することも可能です(金利が高く設定されている場合があります)。
親亡き後の実家
また、親の貯金でリフォームできたとしても、「親が亡くなったら実家をどうするか」を考えておく必要があります。使わなくても残しておきたいのが実家というものですが、残すなら家の管理をする必要があります。 所有している以上は固定資産税がかかりますが、もし空き家のまま放っておいて特定空き家の勧告を受けたら、固定資産税は軽減措置が解除されて6倍になってしまいます。そのうえ、空き家の除去費用も請求されます。 空き家問題のことも含めて考えると、リバースモーゲージ型住宅ローンを利用しておいて、親御さんの死亡時に、相続人が借入元金を一括返済して実家を残すか、売却するかを選べるようにしておくのも一つの方法かもしれません(取扱金融機関により資金の限度額等、異なる場合があります。取扱金融機関にお問い合わせください)。 ただ、2階建てを平屋にするリフォームが、借入してでも必要なものかどうか、まずそこから考えられてはいかがでしょうか。 出典 国土交通省 国土交通政策研究 第 97 号 減築による地域性を継承した住宅・住環境の整備に関する研究 金融広報中央委員会 知るぽると しっかりシミュレーション 国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について 執筆者:林智慮 CFP(R)認定者
ファイナンシャルフィールド編集部