俳優・岩谷健司、ピンク映画から社会派まで幅広く活躍。恋人の“理解”が必要な作品も一緒に鑑賞「その時の彼女が妻です」
テレビ局のお偉いさん役に
『岬の兄妹』が公開された翌年、2020年には『共演NG』(テレビ東京系)に出演。このドラマは、かつて恋愛関係にあり25年間“共演NG”だった大物俳優(中井貴一&鈴木京香)がなぜか再共演することになったことで巻き起こる騒動を描いたもの。 岩谷さん演じる戸沢寛治は、テレビ東洋のドラマ部長で、問題のふたりが恋人役で共演するドラマ『殺したいほど愛してる』の総責任者。数々の困難に巻き込まれて頭を抱える日々を送ることに…という展開。岡部たかしさんも監督役で出演している。 「大根(仁)さんがそもそも知り合いだったんですけど、ああいう役を作ってもらってうれしかった。ありがたかったですね。 『テレ東でこういうドラマをやるんだけど、そのテレビ局のドラマ担当のお偉いさん』って言われたのかな? とにかく衣装合わせに行ったときに大根さんが『俺は反対したんだけどね』って言ってきて。大根さんが俺にその役をやらせるのは反対だったんだって、そういうやり取りをしたの。冗談でね。いつもそうなんですよ、あの人は(笑)」 ――ドラマの責任者が岩谷さんで岡部さんが監督、迫田孝也さんがプロデューサー、絶妙な組み合わせでしたよね。 「毎回とにかくすったもんだで、次から次にいろんな問題が起きてね。俺、大根さんがいいなあと思ったのは、迫田さんがやったプロデューサー役に最初は岡部ってなっていたんですけど、俺と岡部じゃちょっと関係が近すぎるんですよね。あまり近い役の設定だと照れちゃうっていうか(笑)。何か恥ずかしいんですよ、やっていて。何かわからないけどね。 舞台だといいんだけど、映像とか他の現場で岡部と何かやるというのは、ちょっと恥ずかしい。だからプロデューサー役を迫田さんにして、ちょっと距離のある監督役にしているじゃないですか。あのぐらいだとちょうどいいんですよね。その辺のさじ加減が多分大根さんわかっているんですよ。そういうところがすごいなあって」 ――愛憎の因縁がある大物俳優同士の共演は何かが起こる悪い予感しかありませんが、そのドラマの責任者って考えただけでぞっとしますよね。 「本当ですよね(笑)。主役同士が25年前に付き合っていて、揉めて別れる原因になった若い女と一緒になっているわけですから。それも結構やばい女で。主役のふたりだけでも大変なのに、それ以外にも不倫だ何だとトラブルの連続。あれはもう胃薬飲まなきゃやってられないって(笑)。 ただ、スタッフさんに言われたのは、テレ東に俺の役のモデルになっている人がいるらしいんですよ。俺はその人が誰なのか知らないけど、部長ですっごい似ているって言われました(笑)。特別研究してはいないんだけど、『すごくテレビ局の部長っぽい』って言われました」 ――問題が勃発するたびに頭を下げるのですが、謝り方も絶妙でしたね。 「そうそう。両方にいいこと言っておいて、何か起きたらすぐに謝るんだけど形だけで心がこもってない。中井貴一さんが『いるよね、こういう人。謝ってはいるんだけど、全然悪いと思ってない』って言っていましたよ(笑)。 俺自身が多分ちょっといい加減だからかもしれない。『すみませんでした』とは言っているけど心のない感じで。頭を下げる角度は深いんだけどね」 ――話題になりましたが、放送が始まってご自身でご覧になっていかがでした? 「想像していた通りおもしろいドラマだなあって思いました。台本でわかっているんだけど、やっぱり大根さんの作品は映像になってみると本当におもしろいなあって。今やっている『地面師たち』もそうですけど、大根さんの作品はめちゃめちゃおもしろいです」 舞台をメインに活動しながらも、『殺したいほど疲れてる!~「共演NG」のホントにNGな舞台裏~』(Paravi)、『Believe-君にかける橋-』、『科捜研の女』(テレビ朝日系)、全国順次公開中の映画『輝け星くず』(西尾孔志監督)、2024年8月23日(金)に公開される映画『ラストマイル』などテレビ、映画に引っ張りだこに。 次回はその撮影エピソードなども紹介。(津島令子)