輪島の倒壊ビル、解体進む 家族失った居酒屋店主、妻の写真見つける
元日の能登半島地震で倒壊した石川県輪島市中心部の7階建てビルの解体作業が進んでいる。隣で営んでいた居酒屋兼自宅が押しつぶされ、妻と娘を失った楠健二さん(56)が18日、現場を訪れ、がれきの中から家族との思い出を見つけた。 【写真】現場を訪れた楠健二さん。解体中のビルは横倒しになったままだった=2024年11月18日午後3時36分、石川県輪島市、金居達朗撮影 花や飲み物が供えられた隣で重機が動き、ビルの内部や鉄筋があらわになった現場。 かつて家族と暮らした川崎市で6月から新たな居酒屋を始めた楠さんはこの日、輪島市の現場を訪れ、解体で出た物品の中から夫婦で営んでいた居酒屋「わじまんま」で妻の由香利さん(当時48)や客を撮った写真を見つけた。自分でシャッターを切ったことを覚えているという。「ここに埋まっているのはごみじゃなく、俺の生活」ともらした。 市によると、ビルの所有者が申請した公費解体で、当初は上層階から段階的に解体する予定だったが、作業員の安全を考慮してビル側面から解体を進めており、年度内の完了を目指している。楠さんは倒壊の原因究明を求めている。(椎木慎太郎)
朝日新聞社