詰め替えパックが共用傘に“転生” こうべ環博で初披露 子ども体験教室も開催 12月に傘の利用開始
詰め替えパックが傘に生まれ変わった!神戸市長田区でこのほど開かれた「こうべ環境博覧会『かんぱく』」(神戸市主催)で、同市と小売・日用品メーカーなどでつくる「神戸プラスチックネクスト つめかえパックリサイクル プロジェクトチーム」が、シャンプーなど日用品の詰め替えパックからリサイクルした傘を初披露した。リサイクル傘は、12月から傘シェアリングサービス「アイカサ」の商品として神戸市内に配置、利用が始まる。 【報道】詰め替えパックから“転生”した傘 かんぱくは、昨年からスタートした環境問題を考えるイベント。今年は小学校跡を改装した、長田区のコミュニティー施設「ふたば学舎」で開催された。プロジェクトチームは傘のお披露目とともに、子ども向けのワークショップ、ブースの出展、チームの活動を振り返る報告会を実施した。 同チームは協働し、洗剤やシャンプーなど日用品の使用済み詰め替えパックを分別回収、再び詰め替えパックに戻す、全国に先駆けた取り組み「水平リサイクル」を目指した活動を展開。2021年10月から神戸市内のスーパーや薬局に回収ボックスを設置し、3年間で約5トンの詰め替えパックを集めた。 今回、その一部をリサイクルし、傘の生地に利用。できあがった傘約300本は、「ネイチャー・イノベーション・グループ」(東京都新宿区、丸川照司代表取締役)による傘シェアリングサービス事業「アイカサ」のレンタル商品として、12月から神戸市内の駅などに設置される。 リサイクル傘には再生樹脂を約50パーセント使用。縁近くの360度にバトンを持って走る人物や詰め替えパック、回収ボックスなどが描かれたユニークなデザインで、「リサイクルした詰め替えパックが傘になり、人に戻ってくることを、バトンをつないで傘を一周することで表現した」(同チーム)という。 午前と午後に1回ずつ開かれた子ども向けワークショップには、20組の親子が参加。その中で、▽詰め替えパックが生まれ変わり、どのように役立っているか▽リサイクルの仕組み▽国内で年間1億2千万本の傘が廃棄されていること―などを学んだ。 リサイクル傘の組み立て体験もあり、子どもたちは完成した傘にマジックで好きな絵を描いたり、シールを貼るなどして、思い思いにカスタマイズを楽しんだ。参加した神戸市の小学4年と1年の兄弟、その父親は「今度から詰め替えパックはごみに出さず、回収店舗へ持って行こうと思った」と話した。 また別室では、同チームのメンバーが登壇、3年間のプロジェクトを振り返る報告会が開かれた。神戸市環境局資源循環課の井関和人課長は「神戸市では何にリサイクルするために何を集めるかという発想で『まわり続けるリサイクル』に取り組んでいる」と述べ、これまでの市民の協力に謝意を示した。その上で「さらに回収量を増やしたい」と、あらためて協力を呼び掛けた。 プロジェクトの指南役で、ごみ問題に取り組むNPO法人「ごみじゃぱん」(神戸市灘区の神戸大学内)の石川雅紀代表理事は、特定の複層フィルムが貼り付けられた構造の詰め替えパックは、プラスチックにリサイクルすることが難しく、選別や異物を取り除く手間もかかると説明。それらの問題クリアに向けた努力とともに、「同分野で競争している企業が協働し、1つのもの(詰め替えパック)を集めている。世界的にも例がない取り組み」とたたえた。ただ、回収が定着している店舗がある一方で、一般市民の認知度は低いと指摘。「もっと皆さんのお力を」と要望し、「(取り組みを)神戸から全国へ広げていけたら」と期待を寄せた。
ラジオ関西