軽自動車で争う「東北660選手権」がどうして若者に支持されるのか? 22歳のウィナーを例に説明します
3クラス制覇か2クラスへのステップアップか
新規格NAの軽自動車によるスプリントレースとして、2023年で13回目のシーズンを迎えた東北660選手権。なかでも最大の激戦区3クラスは改造範囲を狭めてコストを抑えているほか、表彰台の獲得が一定数に達したドライバーはエントリーできないなど、毎年のように新しいヒーローが誕生する東北660選手権の登竜門だ。今回は2024年4月14日(日)に行われる開幕戦の前に、2023年に活躍し2024年シーズンでの躍進が期待されれる大平崇文選手を紹介しよう。 【画像】こだわり満載! 勝利のために作り上げたレース用軽自動車「ミラ」を見る(12枚)
親戚の影響でレースに興味を持った
2023年も開幕戦で優勝の西沢拓真選手やシリーズを制した岩塚眞澄選手ら、初参戦から数年を経て開花するドライバーは枚挙にいとまがない。そして10月15日にエビスサーキットの西コースで行なわれた最終戦では、弱冠22歳という大平崇文選手が念願の初優勝を遂げた。 東北660選手権にデビューしたのは2021年、1時間のセミ耐久レースである特別戦。親戚が日本大学工学部の自動車部で活動しており、その影響でサーキットやレースに興味を持ったそうだ。 初めての愛車であるスズキ「アルトワークス」はエンジンブローで失ったが、次にL275型ダイハツ「ミラ」を購入したことで東北660ワールドへ足を踏み入れる。本格的にサーキットを走り始めたのは2台目のL275ミラからで、オートリサーチ米沢にて3クラス仕様に仕上げてもらったという。 初めてのレースは緊張もあったが楽しさはそれを上まわり、翌2022年から本格的に参戦し経験を積み上げていく。開幕戦こそビギナー専用の5クラスだったが、次戦からは自主的に3クラスへとステップアップする。いずれも上位に食い込み「来年のヒーローは彼か?」と予感を抱かせたが、2023年シーズンは開幕戦の前日にクラッシュするというアクシデントに見舞われた。 リアガラスまで割れる大きなダメージを負い一時はリタイヤを覚悟するも、オートリサーチ米沢のデモカーから外装パーツを借り夜を徹して修復し、リヤクオーターは痛々しく凹んでいたが決勝を走り切り8位でフィニッシュした。