先行き不安?!阪神新外国人は敗戦時にメッツファンの糾弾標的だった
実は、この3年間、メッツファンは、打撃不振が原因で負けると「キャンベルの責任だ!」と、キャンベルをターゲットにして糾弾したという。FAになった大物のヨエニス・セスペデスと共に期待外れの代表格とされ、執筆したマイク・バカロ記者によると「ケガや選手が揃っていないことが敗因で、2人は、実はそれなりの成績を残しているのにキャンベルはメッツが打てないということを象徴するポスターボーイになった」というのである。 不満のたまったメッツファンが鬱憤をぶつける標的の選手になっていて、スコアボードのラインナップ表にキャンベルの名前が出るだけで、メッツファンが「キャっ!」と悲鳴をあげていたというのだ。 同記者は「記者である私もキャンベルの糾弾に加わることがあった」と告白した上で、こんなエピソードを書いた。昨年のある日、シティフィールドのロッカールームでキャンベルに、「ファンのターゲットになっていることに気づいているか」と質問をぶつけたという。 キャンベルは「もちろん、知っている」と笑いながら、肩をすぼめて話した。 「でも、僕にとってメジャーリーグのロースターに入り、プレーすること以上の仕事はない。毎日、メジャーリーグでプレーするのはドリーム・カム・トゥルーなんだよ」 同記者は、キャンベルを「応援したくなる男なのだ」と褒め、「彼はファンが心の中では応援していても、つい無慈悲な言葉を浴びせてしまうことを知っている。論理的には、言葉で応援する選手と、心から応援する選手は同じはずだが、私たちはそれが重ならないことが多いのは知っている」と、複雑なファン心理を分析した。メッツファンと阪神ファンは実は、よく似ていて、熱烈な応援の反面、打てなくなって期待を裏切り続けた選手を攻撃の標的にするケースが少なくない。可愛さ余って憎さ百倍なのである。 ニューヨークポストの記者は、「キャンベルとセスペデスの2人がいなくなったら、ファンは新しいスケープゴートを探さなくてはいけないことになる。キャンベルは、先週、NPBの阪神タイガースと契約するということが発表された。日本への移籍がキャベルにとってうまくいけばと私は望んでいる。彼は本当に良い男なのだ」というエールを紙面からキャンベルに送った。 このメッツ時代のエピソードが阪神で成功した暁に美談になるのか、果たして………。 来季のチーム浮上の鍵を握っているのは、間違いなく新外国人が戦力になるか、どうか。メッツでファンの標的にされるほどメジャーで結果を出さなかったキャンベルで大丈夫なの? と不安に思うのは、私だけだろうか。ちなみにキャンベルの今季年俸は、513,308ドル(約5400万円)だった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)