二松学舎大付が試合を決めた1年生のスクイズ 秋季高校野球
◇高校野球秋季東京大会決勝(7日・神宮球場) ◇○二松学舎大付6―5早稲田実● 延長タイブレークになっても両チームとも堅守で譲らず、スコアボードに「0」が並んだ。ピンチのしのぎ合いだっただけに、精神的にやや有利だったのは裏の攻撃か。歓喜の瞬間をつかんだのは、十二回裏の二松学舎大付だった。 無死一、二塁でスタートするタイブレークで、十二回の先頭打者で入ったのは7番・熊木涼太だった。「(バントを想定して)一塁手と三塁手が前に出てくるのは分かっていたので、『ゴロを転がせ』という指示だった」。左打者の熊木はバットを指1、2本分短く握り、バスターで初球をたたきつけた打球は横っ跳びした三塁手の左を抜けた。 無死満塁で絶好のサヨナラ機。1死となって打席に向かったのが途中出場の1年生、9番・根本千太郎だ。 1ボール、1ストライクからベンチに目をやって軽くうなずいた後の3球目。「絶対に決めてやる」。一塁側にきっちり転がしてスクイズを成功させると歓喜の輪ができた。 二松学舎大付が放った計14安打のうち10本が内野安打だった。各打者がたたきつけるようなコンパクトなスイングを最後まで心掛けた結果でもあった。 早稲田実とは1981年の決勝で敗れている。今回は実に21年ぶりの優勝だが、この間に準優勝は5度。2021、22年は連続で決勝の舞台に進みながら、頂点には届かなかった。それだけに市原勝人監督は「なかなか勝たせてもらえなかった。感無量の思いです」と感慨深げだった。【高橋広之】