スリランカ出稼ぎ事情、海外に一縷の望みを託す若者たち
日本への出稼ぎの最大の問題点はブローカー手数料
11月25日。キャンディー郊外の宿のマネージャーの姪は地元で看護師をしながら日本語を勉強して静岡県の老人ホームで働いており、来日4年目だった。フィリピン人やインドネシア人が老人介護施設で働いていることは知っていたが、スリランカからも来日していることは初耳だった。 12月5日。キャンディーのホテルのドアマンと話していたら友人が日本のホテルで働いているという。友人はエージェントに日本側のブローカー費用として40万円(注:本編では当時の為替レート1円=2ルピーで現地価格を換算して円貨表示する)を払って日本に渡航。40万円には就労ビザ、就労先ホテル斡旋が含まれると。自分も日本で働きたいがそんな大金は準備できないので放浪ジジイに「日本のホテルを紹介して身元引受人になってください」と泣きついた。 宿に戻りメイドにドアマンの話をしたら正式ルートで就労ビザを取得して(技能実習生・特定技能のような制度のことらしい)で日本に出稼ぎに行くには一般に35万円くらいのブローカー手数料が必要と巷間で言われているという。35万円はスリランカの平均年収に近い金額だ。注)公立学校若手教師の月給は2万円程度と教師技能開発センターで聞いた。女性センター長は優秀な若い人が教師にならず海外へ行くのは当然と諦め気味だった。 12月11日。ヌワラ・エリアのゲストハウス近くのビール販売店の土間で昼から店で買ったビールを立ち飲みして騒いでいる4人組の地元の若者。1人が2024年4月から日本でバスの運転手の仕事をすることが決まったので仲間で祝い酒という。聞くと日本の観光地の旅館組合が運行する送迎バスの運転手のようだ。月給は手取りで15万円という契約。他方ブローカーには手数料として約30万円払ったという。手数料の大半は日本側のパートナーに渡るらしい。 やはり外国人の日本での就労にはブローカー手数料という暗闇が付いて回る。日本政府は外国政府の方針なので現地の労働者送り出し制度には関与できないという不可解な説明をして現行制度の抜本的改革を避けている。韓国政府がコロンボに窓口機関を設置していることから明白なように日本政府は“不可解な”言い逃れはできないと思うがいかがであろうか。