楽天・青山浩二 どこでも投げる覚悟 「とにかく、燃え尽きるまで現役を続けたい」
プロ15年目の37歳。危機感は常にある。昨季、球団初の通算600試合登板を果たした鉄腕に、もはやこだわりの持ち場など存在しない。劣勢のときこそ力を発揮するリリーバーが、チームのために身を粉にして投げ続ける。 文=金野正之(河北新報社) 写真=井沢雄一郎、BBM 「緊張した」。9月2日の今季初登板後、新人のような感想を漏らした。ちょうど今季折り返しの61試合目だった。プロ15年目の青山浩二にとって、ここまでがものすごく長かった。 37歳のシーズン。勤続疲労か、オープン戦から調子が上がらず、思うような球筋が見られなかった。新型コロナウイルスが日本中に広がり、6月末まで開幕が延期される。それは調整期間にはなったが、調子が戻らず一軍入りを逃すと、開幕ダッシュに成功したチームに乗り遅れた。3歳上の久保裕也も一軍へ上がっていく中、二軍でただ機会を待った。 「このまま終わってしまうのだけは避けたい」。思いとは裏腹に時は流れる。7月、本来のオールスター戦の時期が過ぎ、8月、お盆が終わる。「♪そして9月はセプテンバー、さよならの……」。竹内まりやの軽快な声が、野球選手にとっては重たく聞こえる9月が近づく。過去14年、青山は野球人生の転機に際した先輩たちを間近で見てきた。おのずと頭の中はもんもんとしてくる。 「今年はコロナで球団経営も苦しい。年俸をもらっている自分の存在は重たい。最悪の想定も……」 「とにかく、燃え尽きるまで現役を続けたい……」 それでも最後に至る思いはいつも同じだった・・・
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週刊ベースボール