中ロ軍の挑発的な演習で緊迫の日本海と北太平洋、米軍は「国土防衛作戦」を発動、日本は?
日本海からアラスカまでの太平洋で、中ロが共同で海軍力を誇示する動きが目立つ。最近も軍艦8隻でアラスカ近くに北上、米海軍は軍艦を派遣した
9月23日にロシアと中国の艦隊が北太平洋に向かって出航し、アメリカは国土防衛作戦に基づいてアラスカを守るために軍艦2隻を配備した。 【動画】これもロシアの手引き:デンマークの哨戒艇に続きバルト海を通過する二隻の中国艦艇 日本の防衛省・統合幕僚監部によると、22日から23日にかけて、ロシアと中国の軍艦計9隻が、日本海からオホーツク海へ抜けるラ・ペルーズ海峡(宗谷海峡)を通過した。 さらに東に進めば、中ロの艦隊はロシアの千島列島を通過、北太平洋に到達するだろう。北東に向かうなら、アラスカのアリューシャン列島付近に到着することになる。 中ロ海軍の艦隊の出航と時を同じくして、米海軍は巡洋艦「レイク・エリー」と駆逐艦「ステレット」をそれぞれ北太平洋とアリューシャン列島に派遣し、米陸軍は3つの部隊を同列島の辺境にあるアラスカ州シェミヤ島に派遣した。 カリフォルニア州サンディエゴを母港とするレイク・エリーは、9月18日から北太平洋で海軍による国土防衛作戦に参加している。米海軍が公開した写真によれば、22日の時点でもまだこの海域を航行中だった。 同じくサンディエゴを拠点とするステレットは、ベーリング海をパトロールするために9月2日に出港したと、ウェブメディアのポリティコは報じる。9月13日と18日には、アリューシャン列島のアマクナク島のダッチ・ハーバーに停泊し、同海域での国土防衛作戦に従事した。
日本近海を中ロ軍艦が航行
国土防衛を担当するアメリカ北方軍は、ステレットが同司令部の「海上国土防衛任務」を支援するために派遣されたことを、ポリティコに対して認めた。 中国海軍とロシア国防省は21日、中国が日本海とオホーツク海で実施している演習「北方連合2024」が第2段階に入ったと発表した。第1段階は9月11日から15日まで行われた。 演習に参加した中国の軍艦は、駆逐艦「無錫」と「西寧」、フリゲート艦「臨沂」、補給艦「太湖」だったと日本の防衛省および中国国営メディアは報告している。これらは中国軍北方戦域司令部の配下になる軍艦だ。 ロシア軍は、太平洋艦隊の指揮下にある軍艦4隻を演習に派遣。駆逐艦「アドミラル・パンテレイエフ」と「アドミラル・トリブツ」、コルベット艦「MPK-107」と「MPK-82」が参加したことが21日に明らかになった。 この軍艦8隻は演習のため、ロシア極東地域の主要港であるウラジオストクを出港した。ただし中国の5隻目として、中国海軍艦艇815A型電子偵察艦「天廊星」の姿も宗谷海峡を航行中の海上自衛隊に確認されている。 中国国防省は9月9日、中国軍の艦隊は2021年以来5回目となるロシア軍との太平洋での合同パトロールを実施すると発表した。両軍による前回の哨戒活動は7月に西太平洋で行われた。 2023年8月には、ロシアと中国の軍艦計11隻が、アリューシャン列島周辺の国際水域で合同パトロールを行い、アリューシャン列島に接近。アメリカの駆逐艦4隻とP-8ポセイドン哨戒機が中ロの艦隊を追跡したことがあった。 アメリカにとって、アラスカ周辺の空と海で中国とロシアの軍事的プレゼンスが高まるのは大問題だ。中ロ両国は7月24日、アラスカ防空圏に4機の爆撃機を送り込み、アメリカとカナダの戦闘機がスクランブル発進する事態になった。 ロシアは9月11日から15日にかけて、海軍の戦略演習「海洋2024」を実施し、ロシア軍機の4つの編隊がアラスカ防空圏内を飛行した。 9月15日には、原子力潜水艦2隻を含む4隻のロシア海軍艦艇が、アラスカ近海のチュクチ海を航行。海洋境界線のロシア側の海氷を避けるため、アメリカの経済水域の30マイル(約48キロ)内側に侵入した。 ロシアと中国は海軍合同演習以外にも、9月16日からウラジオストク近郊と北太平洋で沿岸警備隊の合同演習とパトロール活動を実施している。
ライアン・チャン(チャイナニュースレポーター)