詰まった当たりが次々ヒットに! 運も引き寄せ1イニング10得点、 拓大一が東海大菅生から大金星! “流れの怖さ”に東海大菅生指揮官「それが野球かな」【24年夏の西東京大会】
<第106回全国高校野球選手権大会西東京大会:拓大一10-9東海大菅生>20日◇5回戦◇スリーボンドスタジアム八王子 【トーナメント表】西東京大会 結果一覧 “流れの怖さ”を改めて実感する試合であった。 序盤3回は東海大菅生が3点をリードし、優勢かと思われたが、4回表、東海大菅生の先発・宮本 恭佑(3年)が、1安打と2四球で無死満塁のピンチを招くと、ワイルドピッチで1点を献上。拓大一の6番・吉田 晃太朗遊撃手(2年)が中前安打を放ち拓大一が1点差に迫ったところで、東海大菅生は投手を交代し、急遽、小島 葵(3年)を投入したが、流れを止められない。 7番・石坂 勇人一塁手(3年)のスクイズが、敵失を誘って同点。8番で先発投手の岡部 蓮(2年)が四球で満塁となり、9番・佐藤 陵成捕手(3年)の当たりは詰まっていたが中前安打になり拓大一が逆転に成功する。その後も3安打1死球で4点を追加する。 拓大一の当たりは詰まった当たりが多かった。拓大一の松井 貴寛監督は、「ボールを選んでいる場合ではない。打てるボールを積極的に振って行け」と指示。その積極性が拓大一の攻撃の流れを作り、東海大菅生を飲み込んだ。東海大菅生はこの回に左腕でエース級の力がある上原 慎之輔まで投入したが、上原も拓大一の5番・田村 逢瑠外野手(2年)に二塁打を打たれ、結局4回表だけで拓大一は10点を入れた。 上原は、5回以降は拓大一に得点を与えない。しかし4回表の10点はあまりに大きかった。東海大菅生も5回裏に1点、8回裏には6番・前田 蓮遊撃手(2年)の2ランで追い上げる。 拓大一の先発・岡部は終盤、足を吊っていた。それでも「足は吊っていましたが、最後まで自分が抑える気持ちでいました」と岡部は言う。東海大菅生の強力打線に対しては、「同じ球を続けない」ことを意識しつつ、「真ん中に投げるくらいの気持ちで投げました」と語る。投も打も東海大菅生に気後れせず、積極的に思い切りよくプレーしようという姿勢が、勝利を呼び込む。 10―6。拓大一が4点をリードして、東海大菅生の最後の攻撃を迎える。東海大菅生は5番の福田 陸外野手(3年)の二塁打など安打3本で2点を返すが既に二死。6番・前田の三ゴロで勝負ありと思われ、拓大一ナインも勝利を確信し万歳をしたが、一塁手の失策で1点差に。 こうした場面で気持ちが切れて、逆転されることがよくあるが、岡部は気持ちを切らさなかった。東海大菅生の7番・関山 凌駈外野手(2年)は二ゴロ。関山は一塁に懸命のヘッドスライディングをしたがアウトで試合終了。拓大一が第1シードの東海大菅生を破る大金星を挙げた。 東海大菅生は、相手の詰まった当たりが野手の間に落ちたり、逆に自チームの痛烈な当たりが野手の正面をついて併殺になったりと、不運な面もあった。東海大菅生の若林弘泰監督は、「それが野球かな。選手はよくやりました」と語った。 拓大一は積極性で運を呼び込んだ。次は神宮球場で準々決勝だ。拓大一の松井監督は立教大学の出身。大学時代は新人戦でしか神宮球場を経験していない。「選手たちとあの舞台に立てるのは喜びです」と松井監督は語る。相手は昨夏敗れている日大三だ。最高の舞台で最高の相手との一戦になる。