ポケモン開発企業から流出、「バクフーン」の衝撃秘話にネット騒然
人気ゲーム『ポケットモンスター』シリーズを手掛けるGAME FREAK(ゲームフリーク)がハッキング被害に遭い、多数のファイルがインターネット上に流出した。その中には残念ながら従業員の個人情報も含まれていたほか、未使用のコンセプトアートや、最終的にはボツとなったポケモンの舞台設定など、さまざまな情報もあった。その中でも、バクフーンに関するある「逸話」がネット上で話題を集めている。 【画像】まさかのエピソードが明かされたバクフーン バクフーンは、『ポケットモンスター 金・銀』で最初にもらえるポケモンの1匹であるヒノアラシの最終進化形だ。筆者は子供の頃に炎のタイプが好きだったので、初代ポケモンではヒトカゲを選んだし、『金・銀』でもヒノアラシを選んでいた。だがそんな私の思い出は、今回のリークで少し汚されてしまったかもしれない……。 流出ファイルの中から見つかったのは、バクフーンにまつわる「伝承」だ。物語は「人とポケモンの関係」をテーマとしており、以下の前置きから始まる。 「昔。ポケモンと人間の境が曖昧だった頃。」 なんとも嫌な予感しかしない書き出しだ。だが物語は、予想をさらに上回る奇妙な方向へと進む。 ある少女が、変身術を持つバクフーンに騙されて、彼を人間だと思い込む。少女はその後、バクフーンとの間に子供をもうけたとみられ、彼の「妻」となる。やがて父親がやってきて、バクフーンを殺す。村に戻った少女とその子供は、村の若者たちにいじめられるようになる。若者たちはある時、2人にバクフーンの毛皮をかぶせる。すると2人は、親子そろって森に逃げ込み、二度と戻ることはなかった。 以上があらすじだが、その中でも特に悪夢のような一節を紹介しよう。これは、少女の父親が娘を探しているとわかったとき、バクフーンと少女が交わした会話だ。 「間もなくここに君のお父さんがやってくる。これから私は君のお父さんに悪いことをしに行く。もし私が殺されたら、私の目と声と心を貰うんだ。そして私の殺された場所に火を焚いて、それを燃やして欲しい。そして燃え尽きるまでこの歌を歌って欲しい」 少女は言った。「やめてください。お父さんを殺すなんて。やめてください。あなたが殺されてください」 「さよなら。二度と会う事もない」 そう言うと、バクフーンは外へと出て行った。 日本を含め、世界の神話の多くでは、動物が人間に変身したり、人間が動物に変身したりして人々をだますエピソードがある。例えば、ギリシャ神話のゼウスはさまざまな姿に変身していたとされる。バクフーンは、ムジナ(アナグマ)をモチーフにしたポケモンだ。ムジナは日本の言い伝えで、姿を変える妖怪とされてきた。つまり、この話には基になるものがまったくなかったわけではない。しかし、このようなストーリーがポケモンの文書に含まれていたというのは、驚きだ。 この逸話がなぜ作られたのか、なぜ流出ファイルに入っていたのかはわからない。誰が書いたのか、実際のゲームに含まれる予定があったのかも不明だ(ポケモンの舞台設定にはダークなものもたくさんあるが、ここまで奇妙なものはない)。いずれにせよ、この逸話はオンラインで広まっており、バクフーンのイメージは永遠に変わってしまった。少なくとも、私にとっては……。
Paul Tassi