“ハリス離れ”なぜ起きた? 完敗の背景に、支持者が違和感を覚えた「一軍女子感」「女子会っぽさ」
■よかったはずのイメージが足かせに?
ハリス氏にしても、現状からの脱却は訴えていただろうが、なぜ支持が集まりきらなかったのか。理由の一つとして挙げられるのは、現職の副大統領としての実績不足だ。ブランドン氏は「一番大きいのは、ここ4年間副大統領をしてきた中で、具体的にあなたは何を達成しましたかと聞かれて、パッと言えるものがない気がする。あったら選挙活動で胸を張って言っているはず。彼女自身も、支持者にここ数年間の実績で、具体的なものに何があると思いますかと言えば『女性で有色人種で副大統領を務めているだけでもすごい』みたいな感じがあった」と、今でも政策を進められる立場であったにも関わらず、これといったものが残せていないことが、賛否はあれど大統領として動いた実績があるトランプ氏と比較された。 また、一時は「ハリス旋風」とも呼ばれ、トランプ氏と真逆のイメージで有利に立ってもいたが、そのイメージに対して首を傾げる支持者も出てきたという。冷泉氏は、その笑い方に着目した。「あの笑い方はすごい。最初は軽薄だと言われていたのが、ある時期から、あれは女性の生きる喜びを表現しているのだと、若い女性を中心に支持された。そうしたら今度は逆に男の人たちが、『女子会がなんか盛り上がっちゃってる』みたいな感じになり『自分はちょっと引くよね』というものが出てきた」と、男性支持者との乖離が始まったという。さらにこれは女性側にもあるといい、ブランドン氏は「すごく一軍女子感がある。アメリカの中でも、ちょっとそこがどうかと思う感じはある。ハリスさんがしゃべっている英語は、結構難しい単語や表現を使っている。マイノリティとか移民とか、ラテン系の方で、英語を母国語にしてない方とかもいるので、ハリスさんの言っていることがわかりにくいとか、何か上から言われてマウントを取られたみたいに思っている人もいるみたいだ」と付け加えた。 ハリス氏に対しては女性初の大統領、さらに中絶禁止を訴えるなど、女性から強い支持を受けると思われていたが、結果はそうならなかった。ブランドン氏は「女性のスタッフにも聞いたが、一言で言うと能力や実績が伴っていないのに、女性だとかマイノリティだというだけで重要なポジションを与えるのは、むしろ頑張って結果を出している女性に対して失礼だと。実績、結果の面で冷静に考えると男性だった場合に選ばれないのに、女性だから選ばれたら不公平ということだ」と述べた。