全部うまくいく「続ける思考」の作り方~効率化も攻略法も成果も、まずは忘れていい理由
『「やりたいこと」も「やるべきこと」も全部できる! 続ける思考』(井上新八 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、出版業界においては知らない人がいないというほど有名なブックデザイナー。 「ビジネス書のデザインといえばこの人」といわれており、余白を効果的に活かしたデザインには、ひと目見れば「あ、これは井上新八さんのデザインだな」とすぐにわかるオリジナリティがあります。 私ごとになりますが、以前『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)という著作のデザインをしていただいたことがあり、とても光栄に感じたものです。その際に驚かされたのは、短期間のうちにかなりの数のラフ案を出していただいたこと。また、それ以前に私の著作を何冊か読んでいただいていたということ。 そもそも、年間200冊近くの書籍のデザインをひとりで手がけていらっしゃるのです。なのに、なぜ限られた時間内に多くの魅力的なラフを出せるのか? ただでさえ忙しいはずなのに、いつ本を読んでいるのか? それがなんとも不思議で、気になる存在であったわけです。 しかしそれは、1日の「習慣」を徹底してデザインした結果なのだとか。仕事が忙しくなりすぎたからこそ実現できたことでもあるようです。 あらゆることが無理なく続くように1日を徹底的にデザインしている。 20年かけて、膨大にある「やりたいこと」「やるべきこと」を続けられる仕組みをつくってきた。自動的に続く「仕組み」を考えた。(「はじめに」より) 20年それを実践し続けたら、いつの間にかすべてがうまくいくようになっていたということ。つまり「仕組み」に大きな意味があるわけで、本書でもその点をクローズアップしているのです。 きょうはそのなかから、CHAPTER1「続けることへの『苦手』をなくす」に注目してみたいと思います。
「正しい努力」より「正しい継続」を
「続ける」ことについて考えるにあたり、著者は「正しい努力」をやめてみようと提案しています。 なにかを始めたとき、多くの場合は効率的に、正しい方法でやろうとするもの。「やるからにはうまくなりたい」「自分を向上させて成果を出したい」というような思いがベースにあるわけです。 もちろんそれは正しいことでしょう。ただし「成果」を先に求めてしまうと、それだけがすべてになってしまいがちでもあります。 その結果、気づかないうちに「修練」や「修行」になってしまうかもしれません。それが、「続ける」ことをつらさに変えてしまう大きな要因ではないかと著者はいうのです。 結果を出すには「正しい努力」が必要だと言われる。 目標を決めて、「成果をきちんと出す」努力のこと。 「正しい努力をしないと意味がない」 でも本当にそうだろうか? 「正しくない努力」を続けた先には、何もないだろうか? そんなことはないはずだ。 別に思うようにうまくならなくてもいい。 続けていればそこには必ず何かの「変化」が起きる。 そのことを信じてまずはひたすら何かを続けてみる。(45~46ページより) 端的にいえば、“「うまくなる」「よくなる」ファースト”の考え方をやめてもいいのではないかという考え方。「正しい努力」という考えを捨て、「ただ続ける」ことを意識するべき。それこそが、「正しい継続」だということです。 大切なのは、自分で決めたルールに則って、ただ継続すること。上達や達成より、まずはただ継続することだけを意識することが重要。上達について考えるのは、「続ける」基礎力を身につけてからでも遅くないからです。 そのために必要なのは、気持ちいいやり方を自分で発見していくことだと思う。(47ページより) これは、シンプルでありながら、とても重要な視点だと思います。(44ページより)