市川染五郎「父とは通じ合うものがある」松本幸四郎と音声ガイドで“親子初共演”
4月16日より、東京・上野の東京国立博物館で特別展「法然と極楽浄土」がはじまります。本展の音声ガイドを務めるのは、歌舞伎俳優の松本幸四郎さんと市川染五郎さん。今回、ガイドの収録を終えたお二人に展覧会の見どころなどを語っていただきました。 【画像】大の仏像好き!? 松本幸四郎、市川染五郎親子が注目する作品はコチラ。
松本幸四郎さんと市川染五郎さんが音声ガイドを担当!
【女子的アートナビ】vol. 329 特別展「法然と極楽浄土」は、鎌倉初期時代に活躍した法然(法然房源空、ほうねんぼうげんくう、1133~1212)にスポットを当て、彼が開いた浄土宗が発展していく歴史を貴重な名宝でたどることができる展覧会です。 戦乱や天災、疫病、貧困などに人々が苦しんだ平安末期に生まれた法然は、比叡山で修業を積み、1175年に浄土宗を開きました。「南無阿弥陀仏」ととなえれば救われる、という教えは貴族から庶民まで幅広く支持され、信者が増加。一時は既存の勢力から迫害を受け、讃岐国(香川県)に流されましたが、その後許されて帰京し、80歳で生涯を閉じました。 本展は、2024年に浄土宗開宗850年を迎えることを機に開催。教科書で見たことがある有名な国宝《阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)(あみだにじゅうごぼさつらいごうず はやらいごう)》をはじめ、国宝や重要文化財に指定されている多くの文化財が集結します。 今回、本展の音声ガイドを務める松本幸四郎さんと市川染五郎さんに、展覧会への期待や見どころなどについてお聞きしました。
早く見たくてワクワクしています!
――まず、本展では、どのようなところが見どころだと思われますか。 幸四郎さん この展覧会では、日本の歴史や過去の作品が発表されていますが、ただ過去のものを見るというより、今でも生き続けている「存在感」を感じられるのではないかと思います。歴史があるからこそ素敵だということもありますが、それ以上に現代にも生きていることが感じられそうです。 染五郎さん 見どころ、というお話ではないかもしれませんが、自分が早く見たいです(笑)。とにかく早く見たくて、ワクワクしています。 ――では、特に楽しみにしている作品を教えていだたけますか? 幸四郎さん 《五百羅漢図》(狩野一信筆)は、時間をかけて隅から隅まで見たいと思っています。自分は何かを表現するという商売をしているので、どうしても作品の表情や色合いなどが気になります。この作品は、現世の人々にお見せしてお伝えするものという思いで描かれていると思うので、そこに表現されている素敵さや、今にも生きている部分をじっくり見てみたいです。 染五郎さん 気になる作品は、《仏涅槃群像(ぶつねはんぐんぞう)》です。特に、2メートルを超える寝釈迦(ねしゃか)を見てみたいです。また、《阿弥陀如来立像(あみだにょらいりゅうぞう)》も気になります。この作者は、特定はされていないけど慶派の仏師がつくったと考えられる、と解説にありました。自分は運慶や快慶が好きなので、生でその独特な空気をまとっている仏像を体感してみたいです。 ――染五郎さんは大の仏像好きと伺っています。どんなところに魅力を感じられますか? 染五郎さん そもそも仏像が好きな理由は、動きやポーズが好きだからです。そしてそれら一個一個に意味があるということなので、その部分に魅力を感じています。 ――若い世代や子どもたちは、日本美術など縁遠く感じる傾向にありますが、ご家庭でどのように促されると、染五郎さんのように仏像好きの若者に成長されるのでしょうか。 幸四郎さん 彼の生まれ年の守り神が不動明王なのですが、とある場所でその仏像が飾ってあるのを見たとき、そのことを彼に伝えると、「自分の守り神だ」と感じた出来事があったかと思います。本当に、ちょっとしたきっかけでした。ただ、子どもが興味を持つものは見落とさず、それを膨らませてあげたいという思いはずっとありました。