横浜の中学校跳び箱事故訴訟、原告の賠償請求棄却 地裁判決、事故態様を否定 原告側は「不合理な事実認定」
横浜市鶴見区の市立中学校で2017年5月、2年生だった男子生徒=当時(13)=が授業中に跳び箱から落ちて下半身不随などの大けがを負った事故で、指導教諭に注意義務違反があったとして、生徒と両親が市に約8200万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は27日、請求を棄却した。原告側は控訴する方針。 判決によると、生徒は保健体育の授業で、5段の跳び箱で開脚跳びをしようと助走して踏み切ったところ、マットに頭から落下。頸髄(けいずい)損傷と診断され、下肢機能全廃などの後遺障害を負った。 原告側は、生徒は直前に跳んでいた台上前転と同様に頭を下げる形で開脚跳びをし、腰が高く上がって事故に至ったと主張。危険な練習方法をとらせたとして教諭の注意義務違反などを訴えた。 藤岡淳裁判長は判決理由で、原告側が主張した事故態様を否定。また生徒が事故直前に台上前転で跳んでいたことが、事故につながった理由とは考えにくいともした。その上で「開脚跳びが直ちに特別の危険を伴うとは言い難く、重大事故が発生するとの予見可能性はさほど高くなかった」などとし、注意義務違反は認められないと判断した。 判決を受け、原告側代理人弁護士は「腰が上がらずにどうやって頭から落ちるというのか。不合理な事実認定だ」などと話した。 横浜市教育委員会小中学校企画課の担当者は「再発防止のため、今後も教員への安全指導にしっかり取り組みたい」とコメントした。
神奈川新聞社