DePIN、問題を抱えたままのIoTの解決策に
IoTの進歩とブロックチェーンの強み
非常に苛立たしい経験もあったが、IoT業界はここ数年、非常に良い進歩を遂げている。HomeKit規格と統合するデバイスや、新しいMatterコントロールや無線通信規格Threadを使用するデバイスは、インターネット接続なしで動作するようにはじめから作られている。 つまり、基本的な機能にはクラウドインフラを必要とせず、メンテナンスの負担が一企業に集中することもない。 しかし、真のスマートホームやコネクテッドエクスペリエンスを求めるのであれば、インターネット接続とクラウドコンピューティングインフラが必要になる。そしてそのためには、分散型のクラウドインフラも必要だ。 ブロックチェーンを使うことで、コンピューティング能力とネットワーク接続性に余裕のあるデバイスは、より複雑なネットワークレベルのアプリケーションを実行できる。 送電網の状態に基づいて家庭の電力消費を管理したい? 最適なタイミングで電力を売ったり、会話型インターフェイスに生成AIシステムを使いたい? これらすべては、多くのコンピューティングパワーと帯域幅を消費する。持続可能なビジネスと価格モデルを望むのであれば、多くの新しいデータセンターを必要とすることなく、そのようなことを実行できなければならない。 ありがたいことに、スマートホームデバイスはとても賢くなった。これは、電球にスマートフォン並みのインテリジェンスが必要だからではない。高度にカスタマイズされた電球専用のスマートチップを作るよりも、スマートフォンレベルの頭脳を丸ごと電球に搭載する方が安上がりだということが判明したからだ。 チップ製造は規模のビジネスであり、標準的なスマート過ぎるチップを製造し、ソフトウェアを使って電灯の操作や冷蔵庫の管理などをさせる方が各デバイスをカスタマイズするよりも安価でスケーラブルだ。 その結果、多くの使われていない接続されたコンピューティングパワーを、ブロックチェーンとリンクした分散型クラウドコンピューティングインフラの構築に活用することができる。 スマートホームやスマートカーは、コンピューティングパワーに関して「自活する」でき、使っていない時に余った分を売却し、必要な時には他からより多くの容量を調達できる。 その結果、製品を販売する側から資本を注入し続けなくてもよい、持続可能なネットワークインフラが構築されるはずだ。クラウドが他人のコンピューターに過ぎないとしたら、近所の冷蔵庫でも良いのかもしれない。 分散型コンピューティングインフラを構築する方法はたくさんある。しかし、私が10年以上前にこの道を歩み始めた時、他のテクノロジーではなくブロックチェーンを選んだのには理由がある。決済とスマートコントラクトだ。 非常にシンプルな話。スマートデバイスが互いに取引してコンピューティングサービスを提供するシステムを望むなら、アカウント、台帳、コントラクトが必要だ。ブロックチェーンにはそれらが組み込まれている。 私は10年以上前から、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、IoTの融合を望んできた。ついにその時が近づいているかもしれない。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:The Internet of Things Is Still Broken (But DePIN Can Fix it)
CoinDesk Japan 編集部