第91回センバツ注目校/4 津田学園(三重) 短時間練習、中身濃く
<第91回選抜高校野球> グラウンドに来た選手たちは時間がもったいないとばかりに、すぐにティー打撃に取り組む。10分後にマシン打撃が始まった。全体で準備運動はしない。限られた時間で練習するための工夫だ。 2014年に両翼92メートル、中堅120メートルの専用球場が完成し、環境に恵まれている。ただし冬場の平日練習時間は午後4時から2時間半が基本だ。学校で生徒指導を担当する佐川竜朗監督(40)は「野球さえしていればいいのではない。朝起きた時に今日も頑張るぞという気持ちを持てることが大切」と、学業に影響を及ぼさない練習量の重要性を説く。 監督就任は08年。練習量でチームを強くしようとしたが、思うような結果が出なかった。15年冬に練習の時間を短くするとともに選手の自主性を重んじると、16年夏の三重大会で準優勝。17年は夏の甲子園に初出場を果たした。18年は春、秋ともに東海大会出場と、安定した成績を残せるようになった。 佐川監督自身にも経験があった。PL学園(大阪)で1996年夏の甲子園に出場。「つらかった思い出しかない」というが、全国有数の強豪でも全体練習は短い。レギュラーを確保するため、自ら考えて練習していたことを思い出した。 一方で、最低限、必要なメニューもある。体力向上のために左翼と右翼の間を走るポール間走は、野手、投手でノルマを設定。選手は時間を見つけてこなす。「だらだらするより、中身のある練習をした方がいい」と主将の石川史門(2年)は歓迎する。 全国で通用する打撃のチームを目指す佐川監督は「1試合で10点以上取れる打線を作りたい」。短時間練習と打撃に特化したチームで17年ぶりのセンバツに挑む。【藤田健志】=つづく