FACT再結成の舞台裏、パンク/ラウドシーンの再興 REDLINEが次の世代に託すもの
最後のきっかけを作りたい
ー今回、イベントを通じて何を成し遂げたいですか。 KTR さっきも話しましたが、パンク/ラウドシーンの再建ですね。REDLINEのフィルターを通して、もう1回あのシーンを作りたいです。それが一番の大きなテーマかもしれない。このシーンはコロナ禍もあってだいぶ下火になっちゃったので、今、若いバンドがいないんですよ。みんな、シーンに憧れを持ってないんです。 ーREDLINEは今回で終わるけど、カルチャーの再構築はこれからも続くわけですね。 KTR イベント自体は終わっちゃうけど、最後のきっかけ作りをしたい。たとえば、今回、メインステージのオープニングアクトを選ぶ大規模なオーディションもやるんですよ。各日2万5000人、2日間で5万人が入る想定なので、メインステージの一発目ってけっこうチャンスじゃないですか。「絶対このステージに立ちたい」っていうバンドはいると思うんです。そういう、ゼロイチを作れるようなバンドを探したいなと。オーディションは8月の頭から募集して10月に決定するようなスケジュールを組んでいるので、それもイベントのプロモーションの一環としてやっていこうかなと思ってます。 ーシーンを大きくしていきたいとか、幹を太くしていきたいという考え方はREDLINEを続けていく中でより強くなっていたところはありますか。 KTR そういう意味では、2019年に初めてフェスという形で幕張メッセで「REDLINE ALL THE BEST 2019」をやったのが大きかったかもしれないですね。かつては 10人ぐらいの動員だったSiMがトリを飾って何万人もの人を集めて、バンドは10年でここまで成長できるのかっていう喜びがあって。だったら、そういうバンドをもう一度つくることがJMSとしての、REDLINEとしての役割なんじゃないかって。売れてるバンドをより広く知ってもらうんじゃなくて、知らないバンドを売れさせたい。それが自分たちの一番の使命。そういった経験から新人をもっとしっかり探していこうという気持ちにはなったかもしれないですね。 ーその想いが、今回でファイナルにしようという気持ちを強くさせた。 KTR かもしれないです。今回選ばれるオープニングアクトの2バンドが中心となってまた新しいカルチャーを作っていって、分母が大きくなったときに新たなフェスができるかもしれない。そのために僕は水面下に潜って、ライブハウスで活躍できるようなバンドをたくさん作ろうかなと思ってます。 ーそういった意味では、すごくポジティブなファイナルなんですね。 KTR 会社的に考えると、年1のフェスはやるべきなんですけどね。2日間のフェスを毎年しっかり乗り切れたらビジネスとして成り立つし、キャッシュフロー的には安定するんですけど、それをやってしまうと結局はいいものを作れなくなってしまうんで。 ー目先の2、3年ではなく、10年、20年を。そして、自分たちの会社のためだけではなく、シーンのために。 KTR そうです。 ー今後、JMSはどうなっていくんでしょう? KTR うちはマネージメント、レーベル、ライブ制作といった基本的な音楽ビジネスを360度できるようにはしているんですけど、それはアーティストの需要と供給に合わせた契約にするためなので、そこは他のレーベルやマネージメントとは違うと思います。お互い、カジュアルに寄り添って、サポートして上へとあげていく。今後もそういったことを頑張っていきたいと思ってます。 ー契約で縛らない関係性を売りにしている会社ってあまり聞かないですよね。 KTR ここ数年、バンドの間でセルフマネージメントが台頭してきていて、個人のマネージャーとエージェント契約して一緒に成り上がっていくっていう海外型のスタイルに変わっていってますよね、今後どこもきっとそういう形になっていくと思うし、マネージメントが360度アーティストホールドするっていうのはお互いにとって危険度が高いのかなと思います。 ー確かにハイリスクハイリターンではありますね。 KTR そうなんですよ。それに、バンドもセルフマネージメントのほうが縛られず、お金も生み出せるというマインドになってる。そういう考え方はすごく大事だし、個人的にはいい風潮だと思うので、そういうバンドをサポートすることで自分たちもいかにマネタイズしていくか考えるほうが、バンドともいい関係を作れるような気がしますね。 ーファイナルを終えたあと、具体的にはどういう動きになるんですか。 KTR REDLINEは一旦お休みなんですけど、面白いイベントやコンテンツは僕の中でいくつか考えてます。でも、次の一手は僕が主体になって動くんじゃなくて、僕のアイデアを部下が大きくしてくれるようなものにしようかなと思ってます。自分がやっちゃうと下が育たなくなっちゃうので、自分がこれまでやってきたことをうまくつないでいきたいですね。 ーいいエンディングを迎えたいですね。 KTR 本当にそうですね。自分が死ぬときにこの日のことを思い出すぐらい記憶に残したいし、お客さん、演者、セキュリティの人たちまで含めた裏方スタッフまで、みんながそう思えるような日にしたいですね。 KTR 株式会社ジャパンミュージックシステム(JMS)専務取締役。大学卒業後、JMS入社。CD流通業を経て、レーベル(FOMARE、KOTORIが所属するsmall indies tableなど)、ライブ制作/マネージメント、アパレル「Deviluse」などを展開。ライブツアー「REDLINE」を2010年に始動させた。初年度にはSiM、クリープハイプ、Fear, and Loathing in Las Vegasらが出演した。 REDLINE ALL THE FINAL 2024年12月7日(土)・8日(日) 千葉・幕張メッセ国際展示場9~11ホール 【出演アーティスト】 7日(土)ACIDMAN / Awich / AgeFactory / ALI / ASP / bacho / FAT PROP / FOMARE / go!go!vanillas / SATOH / HERO COMPLEX / KOTORI / MONGOL800 / MY FIRST STORY / PEDRO / RIZE / SIX LOUNGE / THE FOREVER YOUNG / TETORA / tricot / w.o.d. / 04 Limited Sazabys / クリープハイプ / サンボマスター / ハルカミライ / 東京スカパラダイスオーケストラ / 優里 / WurtS 8日(日)AFJB / BLUE ENCOUNT / coldrain / Crossfaith / Crystal Lake / CVLTE / Dragon Ash / dustbox / EGG BRAIN / ENTH / Fear,and Loathing in LasVegas / FOR A REASON / HEY-SMITH / MAN WITH A MISSION / MONOEYES / MY FIRST STORY / NOISEMAKER / Northern19 / Paledusk / ROTTENGRAFFTY / SHADOWS / SHANK / SiM / The BONEZ / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / TOTALFAT / マキシマム ザ ホルモン / FACT
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