ダウン症のある娘が中学卒業…母娘の生活を一変させた「ヨガとの出会い」
待望の第一子を産んだ直後に、ダウン症と知らされたフリーアナウンサーの長谷部真奈見さん。出産当初は娘がダウン症である事実を受け入れることができず、誰にも明かせないまま、自殺を考えるほど思いつめた時期もあったという。あれから15年、現在長谷部さんは、今春中学校を卒業した娘さんとの楽しい日々をブログなどで積極的に発信している。 【写真】娘さんとの絆がより深まったヨガのレッスン風景 ---------- ※ 正式名はダウン症候群。染色体の突然変異によって起こり、通常、21番目の染色体が1本多くなっていることから「21トリソミー」とも呼ばれる。筋肉の緊張度が低く、多くの場合、知的な発達に遅れがある。心疾患などを伴うことも多いが、医療や療育、教育が進み、最近ではほとんどの人が普通に学校生活や社会生活を送っている(参考:日本ダウン症協会HP)。 ---------- 「大好きで大事で大切な娘のことを、出産当時なかなか受け入れられなかった自分を、娘に許してもらいたい」――そんな思いから、長谷部さんが覚悟をもって当時の自らの思いと向き合う本連載は、毎回大きな反響を呼んでいる。 第8回目の今回は、娘さんの子育てに前向きに向き合うにはどうしたらいいかと悩んでいるときに受けた大きなサポートと、長谷部さんにとってかけがえのない存在に出会ったエピソードをお伝えする。前編では、長谷部さんの支えになった「ヨガ」との出会いについて振り返る。
夫のアメリカ出張土産の洋書が私の人生を変えた
娘の存在を語る際に、欠かすことができないのが、夫の存在です。彼は、私が娘の子育てを前向きに捉えられるようになるきっかけを、これまでにも幾度も作ってくれました。 実は、私には経営者、アナウンサー、そしてもう一つ、ヨガインストラクターという肩書きがあるのですが、ヨガスタジオを主宰するきっかけを作ってくれたのも夫の一言でした。 娘がまだ1歳の頃、歩けるようにならないどころか、ハイハイすらしないことに不安だった私は、何とかしたいと、「赤ちゃん体操」に通ったり、藁をもすがる思いで、「○○法、○○メソッド」といった乳幼児教育プログラムを取り入れたりしていたものの、目立った効果は見られず、焦り始めていた時でした。そんなある日、アメリカ出張から帰国した夫がお土産に、一冊の分厚い洋書を買って来てくれたのです。 表紙には『Yoga for the Special Child(スペシャル(特別)な子どものためのヨガ)』と書かれていました。著者は、ダウン症のある子を育てているお母さんで、自身の娘の成長に役立てようと考案したヨガのメソッドが詳細に紹介されていました。当時それほどヨガの知識もなかった私にも分かりやすく読めた上、その本には、アーサナ(ポーズ)をとる著者のお嬢さんの写真も載っていて、その表情や姿勢の美しさに釘付けになり、私は「これだ!」と、ビビッと来たのを覚えています。 「娘からダウン症は取り除けなくても、ダウン症による症状や発育の遅れはヨガで改善できるかもしれない」という直感から、居ても立っても居られなくなり、すぐにヨガを娘に教えてくれる先生をインターネットで探し始めました。ですが、当時は、ダウン症のある子どもにヨガを教えている先生や、そのような情報になかなか辿り着くことができなかったのです。