<Garden of Remembrance>山田尚子監督×ラブリーサマーちゃんインタビュー(1) 臭いのするガーリーな世界をアニメに
ーー最初に会った時の印象は?
ラブリーサマーちゃん 楽しかったですよ。泥酔したんですよね。自分が謎の恋バナを打ち明けたり。
山田監督 打ち合わせ後の食事会の席で焼酎のカメが用意されていたんです。ラブリーサマーちゃんはロックな方で、感動しちゃいました。お話すると、すごくクレバー、博識で、自分で学んできたものなどの芯がありつつ、感性でも見ている。すごく面白い方だなと感じました。
ラブリーサマーちゃん もったいないお言葉です。ドキドキでした。気さくな方で「私が山田尚子よ」みたいな感じでもいいのに、全然そんなことなくて、救われた気持ちでした。
山田監督 そんなに堅苦しくはなかった気がします。初日で、ラブリーサマーちゃんがパッと心を開いてしゃべってくださったのがすごく大きくて。
ラブリーサマーちゃん 山田監督が開示してくださったからだと思います。山田監督はオープンな人ですよね。
山田監督 そういっていただけるとうれしいです。馬が合ったんでしょうね。
◇あえて余白を残す
ーーコンセプトはどうやって決めていった?
山田監督 ラブリーサマーちゃんと私でキーワードを持ち寄って、自分がポエムにして、それを基にコンテを書いて、ラブリーサマーちゃんが音楽を作るという流れでした。初めてのことです。いっぱいアイデアをいただき、面白かったです。最初、ポンポンポンとアイデアを出し合って、そこから見えてきたものもあります。
ラブリーサマーちゃん こういう作品にしたくて、こういう曲を書いてほしいというオーダーではなく、骨子から作っていきました。具体的に言語化されているのではなく、史跡や童話の挿絵などもご提案していただき、ブレーンストーミングをしていき、軸になるポエムができました。余白を残していて、あまり具体的にしないまま制作が進みました。
山田監督 具体的な提案をしてしまうと、そこで固まってしまい、つまんないなと思っています。私は考えることが好きなので、考えることが好きな人とご一緒したいっていう気持ちがあり、余白を残しました。実際にお話しして、考えるのが好きな人だと受け取ったので、広めに余白を作り、「一つ、我々のわがままに作ってみませんか?」みたいなことを言ったのを覚えています。格好よすぎますね。なんかすみません!