賃上げを加速する知恵は何か 経団連、日商、同友会のトップたちの発言は?
日テレNEWS NNN
来年の賃上げはどうなるのか? 大企業をリードする経団連会長の十倉雅和会長、中小企業を束ねる日商の小林健会頭、率直な発言が特徴の経済同友会新浪剛史代表幹事ら3人の発言から課題を読み解く。(日本テレビ経済部・安藤佐和子解説委員)
■賃上げ交渉の本格開始…来年1月
来年、物価高に負けない賃上げを実現できるのか? 賃上げ交渉の本格開始は来年1月ですが、早くも経済3団体トップらの賃上げ促進への姿勢に注目が集まっています。
10月19日、日商の小林健会頭(三菱商事相談役)は企業の経営者らに向け、「大企業、経営トップに、こちら(中小企業)を向いてほしい」、「労賃について見てくれないという不合理が出てきている」と苦言を呈しました。 つまりこれは、中小企業が賃上げできるようにするためには、コスト上昇分を、取引価格に上乗せ=価格転嫁する必要があるが、そのコストというのは、原材料費、電気代などの上昇分だけではなく、中小下請け企業などが自社の「人件費の上昇分」も取引価格に上乗せできるように見直さないと、賃上げができませんよ、という指摘です。
■連合の“5%以上”要求方針は「適当な数字」
経済同友会の新浪剛史代表幹事は10月20日の会見で、まず、新浪氏自身が社長を務めるサントリーHDについて、来年7%程度の賃上げを行う方針を明らかにしました。理由は「人材確保」です。 新浪氏は、「人手不足に対しての現場からの声が大変大きい」「いまこの早い時期に(賃上げについて)話をすることで、サントリーは給料あげるぞ、という予見性を高めることが重要だ」と説明しました。 新浪氏いわく、中途採用が昔より増えているので「思い切り早く、賃上げ方針を出して、良い人材の確保につなげたい」といいます。 また、新浪氏は、労働組合を代表する「連合」が5%以上の賃上げを求める方針を示したことについて、「5%は適当(適切)な数字」だとの認識を示しました。新浪氏は、「賃上げできる企業が5%という数字を示していくことで、周りの賃上げ可能な企業にも波及する」「できる企業がどんどん賃上げすれば平均で5%もあり得ない数字ではない」との見解を示しました。