ウォール街きっての弱気派ウィルソン氏、S&P500種の目標6500に
(ブルームバーグ): ここ数年米国株に対して弱気な見方を示してきたモルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏が、2025年について全面的に強気な見通しを示した。
同氏は、経済成長の改善と米連邦準備制度理事会(FRB)のさらなる利下げを背景に、S&P500種株価指数が来年末までに15日の終値から11%上昇の6500前後に達すると予想した。以前は25年半ばの同指数目標を5400としていた。
ウィルソン氏らストラテジストはリポートで「米国の株価は割高だが、同国のマクロ経済改善、米国以外の世界の成長によりネガティブな影響を与えるであろう米国の関税政策、そしてアニマルスピリットによる上昇セクターの広がりによって支えられている」と指摘。第2次トランプ政権下での規制緩和も米企業に恩恵をもたらすだろうと予想した。他の潜在的な政策の影響は不明だと付け加えた。
2022年の株価大幅下落を正確に予測したウィルソン氏は、23年に相場が上昇する中でも弱気見通しを維持していたが、今年初めについにS&P500種の目標を引き上げ、24年末までに6100に達する可能性もあると予想した。
米国株は、人工知能(AI)開発を巡る熱狂と驚くほど回復力を見せる経済、金融当局の利下げに後押しされ23年の年初から50%余り上昇している。
「FRBが来年に入っても利下げを継続し、景気循環指標が改善を続ける限り、収益成長の拡大は継続するだろう」と、ウィルソン氏はモルガン・スタンレーの25年見通しの中で予測した。
トランプ氏の経済政策が実施されればさらに景況感を支える可能性があるが、移民、貿易、規制緩和、政府支出を巡る政策の影響が不透明であることを踏まえ、投資家は業種や銘柄選択において機敏な対応を維持すべきだとウィルソン氏は助言している。
モルガン・スタンレーのストラテジストは選挙後の不透明感を理由に、株式の予想レンジを通常よりも広くしている。S&P500種は最悪のシナリオでは、22%下落して4600まで落ち込み、最強のシナリオでは26%上昇して7400に達すると予想されている。