大谷翔平、ナ・リーグMVPの必須条件とは!? 前人未到のDH受賞には”打つだけじゃダメ”…?
過去のケーススタディー
次に、以下の指標を基にして過去のMVP受賞選手がどのような数字を残していたかを見ていきたい。 WAR: Wins Above Replacementの略。代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を稼いだかを表す指標 Off: WARの内、打撃・走塁面において平均と比べどれだけの貢献を生み出したかの指標 Def: WARの内、守備面において平均と比べどれだけの貢献を生み出したかの指標 昨季のNL MVPはルール改正があったとはいえ現代では前代未聞の73盗塁を決め、打撃面でもOPS 1.102とトップの成績を残したロナルド・アクーニャ Jr.が受賞。2位以下は打撃成績に準じて位置したように見えるが、やはり守備負担の多いライト、セカンドを守ったベッツが打撃価値の高いフレディ・フリーマンより上位に位置した。 打撃成績にさほど差が無い場合、守備負担が大きく考慮される一例だ。また、チーム順位はドジャース、ブレーブス共に地区優勝を果たしたため、順位に影響を与えなかった。
MVPは“打つだけじゃダメ”理論を覆せるか!?
DHを専門とする打者がMVP投票上位に浮上しているのが2018年のAL(アメリカン・リーグ)だ。この年はベッツ、マイク・トラウトという世代を代表するファイブツールプレイヤーがMVPを争い、結果的にWARが10を超えたベッツがMVPを受賞した。 J.D.マルティネスは攻撃面では3位のホセ・ラミレスを上回る活躍をしているが、ラミレスはサードを守り守備面で貢献した一方で、DHが出場の半分以上を占めたマルティネスは守備面でマイナスがかかり、4位に順位が落ちた。 米メディア『The Athletic』のKen Rosenthal氏 は、6月初旬に大谷のMVP獲得の可能性について言及したが、その中で「DHがMVPを獲得することの問題は、投票者がDHを通常選手の半分しか評価しないことだ」としている。 つまり、比較的守備面での貢献が少ないとされるファーストやレフトに比べて、”守備に就くことすらない”DHを投票者は数値以上に低く評価するということだ。