公共投資に“春”の兆し 公共工事関連データからわかった大本命株とは?
リード役は大手ゼネコン
にもかかわらず、建設セクターの株価は年初から精彩を欠いたまま。東証・建設株指数は1月6日に1303.32ポイントで高値を付けたあと、2月8日には1168.69ポイントまで10%下落。3月初旬以降、やや戻しつつあるが、それでも15日現在、まだ1230ポイント台に届いていない。円安メリットを享受する電機、精密、自動車といった輸出型製造業の銘柄が中心的に物色される状況下、内需系の非製造業銘柄である建設株は割りを食った格好だ。 しかし、受注増勢を背景に、今後、建設各社の2017年3月期決算の発表(5月初旬~中旬)をにらんで、株価も浮揚力を増していく可能性がある。また、先行き日本に対して内需拡大(=財政出動)を要求することが考えられる米トランプ政権の動きも、建設セクターにとっては刺激材料になるだろう。 リード役は大手ゼネコン。とりわけ、新・東京五輪スタジアムの施工会社である大成建設(1801)は有望銘柄の筆頭格といえる。 2月初旬に発表した大成建の今3月期第3・四半期累計(昨年4月~12月)連結決算は本業の儲けをあらわす営業利益が1043億9600万円(前年同期比35.2%増)を達成。現在のペースだと、会社側の通期計画である1120億円(前期比4.7%減)は大幅に超過達成される公算大。注目されるのは「稼ぐ力」を示す完成工事利益率の向上が顕著になっている点だ。昨年12月に記録した850円高値を奪回し、中期的には900円台を目指す潜在力を秘めている。 このほかでは、大林組(1802)、清水建設(1803)、鹿島(1812)、前田建設(1824)といったほかの大手ゼネコンや準大手ゼネコンも上値余地は大きい。リニア新幹線がらみの有力株、鉄建建設(1815)は320円台での下値固めが進み、出番待ちの様相だ。 (証券ジャーナリスト・神田治明)